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■ 08 忘年走行会
 今年(2008年)は、新コースでの開催がアナウンスされているブルカップへの参戦を考えていたが、コース選定が難航しているようで、開催通知のいつもの茶封筒が届かぬうちに年末が近づいてきてしまった。
『1度もCRに乗らぬまま年は越せないでしょ!』
と激々に予定を調整し、今年仲間と走れる最後のチャンスであるバンザイダート忘年走行会への参加を決めた。

前日にそうちゃんが体調を崩したため、いつもより多めのガソリンを積み、まっち独りで開催場所であるバンザイダート貸切のモトクロスビレッジに向かう。8時半頃雨上がりのコースに到着。挨拶がてら3年ぶりに会う(自分と似たような境遇の)ハガさんと「家庭や仕事とモトクロスの両立」の話に花を咲かせるうちにコース整備のブルドーザーが撤収。今日は『今年1年走れなかった借りを返すつもりで全員の中で1番長い距離を走る!』と決めていたので人がまばらなうちからコースイン。

『あれっ、バイクってこんなに不安定な乗り物だったっけ?』

コースの水はけの悪い部分には昨晩の雨を吸い込んだウッドチップが撒かれているため、不用意にアクセルを開けると下に隠れたツルツルの地面にタイヤが滑ってしまう。うまく走れない苛立ちと、コース上に段々と増えるバンザイ仲間とのあまりのスピード差に、自分の下手さ加減が身に染み暗い気分になっていく。『俺って、ホントにダメダメだな。』

1時間程走り小休止。ガソリン補給がてらハガさんに『コース走りながら考えてたんだけど、3年前に会った時って確か・・・の話したんじゃなかったっけ?』 と話し掛けると、 「まっち、走ってる時そんなこと考えてたのか?それって集中できてない証拠だよ!」 とダメ出しされてしまう。

確かに今の自分は遅さばかりを気にしてしまい走りに集中できていない。 せっかくの走行会をこんな気持ちで走り続けるのは不毛だと思い、 「ツーリングのような走りで結構!」と開き直り自分流で走らせてもらうことにした。

邪念を捨てて、座る位置やライン取等走りに集中しながら走るうちに徐々に無駄な力が抜け、昼過ぎにはコースコンディションも良くなってきたこともあり、ようやく気持ちよくアクセルを開けられるようになってきた。

池ポチャ 暴走会

3時頃集合かかり、バンザイダートイベント、「同じバイク(TT-125)4台での模擬レースと4チーム対抗リレー」が行われる。楽しく走るために準備してくれた仲間の心意気が、楽しむ準備の整った皆の心にすんなりと染み入り、コースは和やかな雰囲気に包まれる。「モトクロス大好き!」という今や少数民族である仲間との、真剣とおちゃらけが同居した、この集団独自の楽しい雰囲気を味わえるイベントであった。

イベントが終わり、撤収作業に取り掛かろうとしていると、暗くなりだしたコースでのっぽさん、さと大さん、のりぞーさん達、バンダイダートのトップランナーがイベントで使ったTT125を使ってバトルをはじめているではないか。
今こそいつもは雲の上の存在である彼らと絡めるチャンスだと彼らを追いかけCRでコースイン。『くそー、これでもジリジリと離されていくのかー。』 なんとか食らいつこうと追いかけるうちに闘争心に火が点き自然とペースが上がる。 多少の接触は気にならなくなり、タイヤも浮き上がり、ようやくモトクロスらしくなってきた。

「走る楽しさ」と「ワクワクする大きな気持ちがまだ自分の中に湧き上がることへの喜び」の相乗効果よって発生した大きな波が、会社勤めで死にかけている僕の細胞の隅々に新鮮な空気を送り込み、体中が甦生し若返っていく。何も気にせずただ自分だけのために走る。

『そうだよ、僕が求めていたのはこの感じだよ!』

ゴーグルを外しコースが暗闇になるまで走り、泥遊びの終了。
最後に集合写真の撮影。最前列にはいつもの(?)ケツ出し裸族達。

『ナンダョ、冷ティ、痛ィ、ケツにタイヤレバー入れんなよ!』

クス君の(おいしい所を持って行く)嬉し気な悲鳴が響く笑いの渦の中、僕にとって今年唯一のモトクロスである08年年末暴走会は幕を閉じた。

TT125リレースタート 08暴走会集合写真

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