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■ ファミリー イカ釣り奮闘記
 『アオリイカのヤエン釣りは釣りではなく狩りだ。』
友人のこの言葉に惹かれ、釣り好きではないまっちが
イカ釣りに挑戦する事になったが、、、 


1. 始めてのイカ釣り
 先日、職場の友人にイカ釣りに誘われた。 狙うのはアオリイカという1年で一生を終える高級イカだそうで、今の時季(初夏)はかなりの大物が狙えるという。 (友人(以下名人と記載)は昨年のこの時季に4キロの大物を釣り上げたそうだ) 釣りは小学生の頃、釣り好きだった父親と一緒に行って以来で、あまり興味がわかないので 断ろうと思ったが、「初めての経験に払う金は惜しまない(ひとこと3に記載)」 という信念に背中を押され行く事に決めた。 (釣りの翌日にディズニーシーに行く約束をしてゆっちの了解を勝ち取った)

会社帰りに名人宅に寄りそのまま出発。途中餌屋で生き餌のアジを20匹購入し、東伊豆の某防波堤に到着、明け方に釣りを開始した。 釣り方は、名人が面白いと勧める「ヤエン釣り」。 仕掛けは道糸の先に針をつけただけで、釣りの手順はこうだ。

1、道糸の先の針に生き餌のアジを引掛ける。
2、アジを海に投げ、ポイントに向けて泳がす。
3、アジにイカが食いつく。
4、イカがアジの旨さに酔っている隙に水面付近までイカを引き寄せる。
5、ヤエンという独特な形状の針を道糸に取り付ける。
6、ヤエンから手を放すと、ヤエンは自重で道糸上を滑り水中のイカに引っ掛かる。
7、暴れるイカを引き寄せタモ網で捕獲。

ヤエンはこんな釣り


ヤエン釣り開始1時間後、名人がイカを釣り上げた。
早朝の防波堤の心地良い風を浴びながら、寝袋に潜り気持ち良く寝ていたまっちであったが、想像を超える迫力のイカを見てようやくやる気になった。
あきらめかけた頃アタリがあり、名人に言われるままに道糸を巻き上げヤエンを投入。 ジェット水流を吹き出して逃げる2、5キロのアオリイカを釣り上げた。
大満足で帰宅し、家族に鼻高々にイカを見せる。巨大なイカに驚くゆっちとなっち。 このサイズだと5000円を超えるというアオリイカは本当に旨かった。 特に醤油と味醂に漬けて焼いたイカは絶品で、このところあまり食欲がない夏バテ気味のそうちゃんまでも ガツガツ食べた。



2. あの興奮をもう1度
 釣り上げた時の興奮が忘れられず、もう1度、今度は独力で釣ってみたくなった。 しかしながら小さな子供達や妻を家に置いてそう何度も釣りに行く訳にもいかない。
うーんどうしよう。
ヤエン釣りでは、生き餌のアジと海水の入った約30キロのバケツを 釣り場まで運ばねばならないため、釣り場近くに車を停めることになり、釣りは明け方の数時間で勝負が着く。
『そうだ、この釣りなら乳児と幼児連れでも行けるかもしれない!』
そう言えば、ゆっちは昔釣りをやりたいと言ってたし、数年後には子供達とも一緒に楽しめそうだ。 釣り上げたイカをその場で料理するなど、キャンプや、モトクロスとの相性も良さそうだ。
『決めた!イカ釣りも家族で楽しもう!』
いつものごとく強引なこじつけでゆっちを説得。翌日の夜から家族でイカ釣りに出掛ける事となった。



3. 本当に子連れで行けるのか?
 勢いでイカ釣りに行くと決めたが、イカとの格闘(ヤエン投入や、タモ網によるすくい上げ等) の最中、子供達が目を覚ましたら誰が面倒を見るのだろうか?防波堤から落ちる危険性は? よくよく考えるとかなり不安。
「そうだ、かつて釣りに没頭していたおじいちゃん(まっちの父親)を誘ってみよう。」
おじいちゃんには釣り吉の血が流れているようで、ひとつ返事で話に乗ってくれ、 まっちファミリー+おじいちゃんの5人でイカ釣りに行く事になった。



4. 家族でイカ釣り(1回戦)
 5人でセレナに乗り込み東伊豆に向けて出発。 途中名人宅に寄り道具を借りて情報交換。子連れに適した釣り場が西伊豆にあると聞き行き先を変更、 今回は生き餌のアジを15匹買い深夜その釣り場に到着した。 なるほど、子供が登れない高さの防波堤沿いに車が停められ、トイレ、水道、コンビ二、子供が遊べる芝生まで近くにあり僕達に丁度良さそうだ。

熟睡する子供達を車に残して釣りを始めて約20分後、借り物のアオリマチックのリールから激しく糸が引き出される音が響いた。 アジにイカが食い付いたようだ。イカはアジを安全な場所に運んでから本格的に食べ始める。 食べ始めてから完食するまでの警戒心が麻痺した数分間のうちに海面近くまで寄せなければならない。 微妙なイカの引き具合から、水面下の様子を想像する。 イカがムシャムシャとアジを食べ始めた絵が頭に浮かんだので、ゆっくりと寄せはじめた。
「あれっ。」
急に糸が軽くなった。道糸を引き上げると、アジは首(頭の後)をかじられていた。(この食べ方はまさしくアオリイカのもの) どうやら寄せのタイミングが早すぎたようで、警戒したイカがアジを離したようだ。残念!

イカがいると分かり急いで新しいアジを投げる。するとすぐに次のアタリが来た。
「ビ、ビビ、ビビビーン」
リールが唸り声をあげ、心が高鳴る。
バイクレースに例えるならばスタートフラッグが振られ、レースがスタートしたという情況だろうか。 数分間の判断や行動次第で勝敗が決まるのもレースと同じだ。
「さぁて、今度こそ捕まえてやるぞ!」
さっきはイカがアジを食べるプレッシャー(?)に堪え切れず、早く寄せ過ぎたので、 今回はゆっちに時計で時間を測ってもらう。とりあえず3分間待ってから寄せ始めた。
「よしよし、今度はいい感じ!」
海面近くまで寄せ、遂にヤエンの投入だ。
「いってらっしゃーい。」
ロープウェーのようにヤエンが海中に沈んでいく。
「、、、???。」
名人と釣り上げた時のような強烈な引きを期待して身備えるがなかなか引きがこない。 戸惑ううちにイカがアジを放したようで今回も失敗に終わる。 (後日の調査でヤエン投入が早すぎた事が判明。イカがアジの上半身を食べ終わった頃ヤエンを 投入しないとヤエンの針の部分がイカまで届かないと知った。)

その後も何回かアタリはあったが、ことごとくバラしてしまう。
名人と一緒の時に釣り上げられたのは、名人の助言が、長年の経験からきた 実に的を得た的確なものだったお陰だと気付かされた。
自分の「対応力の無さ」、さらには「人間としての器の小ささ」までも海中のイカに見透かされているような 気になり、どうしても釣り上げたくなる。
しかし気持ちとは裏腹に夜は完全に明けてしまい、 アタリはピタリと来なくなった。 どうやら今日のレース(イカ釣り)に、まっち、ゆっち、おじいちゃんの3人チームは完敗したようだ。
子供達も起きたので、アジ2匹を残したまま撤収を決めた。



5. 名人のレクチャー
 後日、釣り上げられなかった原因について名人のレクチャーを受ける。 何秒位待ったのか、どの位置に何メートル糸を垂らしたのか、潮の流れや魚の弱り具合はどうだったのか、 名人に当日の情況を細かく聞かれるが、なんとなく釣りをしていた自分はほとんど答えられない。
バイクの世界でも、上級者と初心者が、一見同じようにマシンをコントロールしているようでも、 実はやっている事は全く違うというのがよくあるが、これは釣りでも同じと言えそうだ。 名人と自分は同じように釣りをしていたつもりだったが、見ているものが全く違ってたようだ。
今まであまり釣りが好きになれなかった理由のひとつに、『アタリがあるまでの中途半端に退屈な時間が好きじゃない。』 というのが挙がるが、釣り好きな人は、この時間もどうすれば釣れるかを考え続けていると知った。
名人のレクチャーは目からうろこの連続で、ヤエン釣りの奥深さを感じた。



6. ヤエン釣りの魅力
 今まであまり釣りが好きになれなかったもうひとつの理由に、『釣れるかどうかは結局運次第で、釣りは宝くじみたいなもの。』 というのが挙がるが、この運次第というのは、ヤエン釣りにはあまり当てはまらない気がした。

普通の釣りは魚が食い付くまでが勝負で、その時点でほぼ決着が着くが、 ヤエン釣りは食い付いた後も魚との賭け引きが続き、例え運良く大物が食い付いても釣り上げるテクニックがなければバラしてしまう。 運よりもむしろ、テクニックや勘、経験がものを言う釣りで、釣り上げられる人と、釣り上げられない人には大きな違いがあるように感じた。 名人が『ヤエンは釣りではなく狩りだ。』と言っていたのが分かった気がした。

名人によると、アタリが来れば9割は釣り上げられるという。
今回釣りが大好きになったという訳ではないが、悔しいから来年(※)リベンジするぞっ!
(※アオリイカはカブト虫のように1年で死んでしまう生物のため大物を狙えるのは春〜初夏に限られる)



7. 06年のイカ釣り(入間キャンプ場)(06年7月17日)
 今年は例年になく海水温が低く、過去10年で最もイカが釣れないとの情報を耳にしていたが、 名人他、数名の仲間が家族連れでイカ釣りキャンプに行くそうなので、ヤエンテクニックを盗むだけでも と思い御一緒させて頂いた。

夜11時頃熟睡する子供達を車に積み込み出発。 伊豆半島を南下する程に強まる風に不安を感じつつ翌朝3時頃に南伊豆の秘境、入間キャンプ場に到着した。
先に到着していた名人は渋い顔をしていた。
『生き餌のアジバケツを海水に浸けてきたけど、バケツと海の水温差が5℃もあってアジが凍えてたよ。 波も荒いから午前中は多分釣れないな。』
とりあえず1時間仮眠をした後防波堤に集まるが、皆が釣りを始める中、名人はなかなか動かない。 そろそろ始めないのかと聞くと、こんな応えが返ってきた。

『イカは泳ぎが苦手なんだ。お前がイカだったら、こんな大波の中を泳ごうと思うか?』

あたかも自分がイカであるかのような発言に妙に納得していると名人は、『アジを温存する』と言い残し、 子供達と昆虫採集に行ってしまった。

まっちは「せっかく海に来たんだから、イカじゃなくてもいいから釣りをしたい」 と言う海釣り未体験の家族3人と、サビキを買い魚釣りをはじめた。 ゆっち、そうちゃん組は30センチのボラ、まっち、なっち組は3センチの妙な赤い魚を釣り上げた。

その後、あまりの暑さに砂浜で海水浴をする。 真夏日でありながら冷たい海水に本格的に泳ぐことはできなかったが、子供達は水遊びや珍しい貝拾いに楽しそうだった。

伊豆なっち釣り補助 伊豆海水浴

夕方になり、涼しくなったので釣りを再開するが、相変わらず高い波に全く釣れる気配がない。名人は、

『昨日から波が高かったようだから、イカもいい加減にお腹が空く頃だろう。』

と粘っているが、暗くなってきたので夕食のお誘いを受けたキャンプ場に先に移動することにした。

キャンプ場でシャワーを浴びていると、名人が戻ってきた。
『イカ釣れたぞ!』
名人の読みは的中し、撤収する直前に本日初の当たりがあり、見事そのワンチャンスでヤエン投入にこぎつけイカをしとめてきた。

イカにおびえるそうちゃん1 イカにおびえるそうちゃん2

仕事や勉強、他の遊びと同じで、釣りにも「予測と作戦」や「釣り上げようとする情熱」、「最後まであきらめない気持ち」が必要なんだと感じた。
『子供達に旨いイカ食わせてやるとか、やることやれば釣れるって言った手前、手ぶらではここ(キャンプ場)に戻って来れないでしょう。』
名人の土産話等に花を咲かせながらそのイカやアワビなどを食べ、(なっちのピアノがあるため) 夜10時頃満点の星空の中キャンプ場を後にした。
単独でのヤエン、アオリイカ釣り上げは来年まで持ち越しとなりそうだ。



8. 07年のイカ釣り(07年7月28日)
1. まっちのイカ釣り
 南伊豆にイカ釣りキャンプに行く計画を立てた丁度その日に台風が直撃し、予定を泣く泣くキャンセル。今年もアオリイカの顔(?)は拝めないのかと諦めかけていると、名人から『熱海で朝ちょっとだけヤエンやる?』とのお誘いがあり、参戦(?)を決意した。
早朝車を飛ばし、家から約1時間半で熱海のポイントに到着。
『今日はコンディションがいいし、他の釣り人もいないから、朝のうちは入れ食いになるんじゃないかな。』 との名人の言葉に胸を躍らせつつ、明るくなり始めた頃イカとの知恵比べを開始した。


1匹目のアジを投げ、待つこと約1分、隣で釣りをする名人から、

『お前のアジにイカが喰い付いたぞ。』

との声が掛がかる。「エッ?見てるだけなのに何で分かるの?」と驚いているうちに、アオリマチックのリールがビービーと唸り、戦いの火蓋が切られた。
数分後、アジの旨さにイカの警戒心が麻痺したであろう頃合いを見計らい、イカが離れないよう慎重に寄せていると、今度は名人から

『もうヤエン投入した方がいいぞ!』

との声。「えっ、まだ全くイカの姿が見えてないのにヤエン入れちゃっていいの?』 と疑問に思いつつも言われるままにヤエン投入。 ヤエン針に掛かり、悶え走り回るイカを海面まで寄せ、タモ網でキャッチ、2.2キロのイカを釣り上げた(同時に名人もほぼ同じサイズのイカを釣り上げていた)。 「やったー!ついに釣り上げたぞ!」でも今回も自分で釣った実感はあまりないな。

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■ ヤエンお勉強コーナー
 今回の釣りで名人から学んだヤエン釣りのノウハウを、Q&A方式でまとめてみよう。
Q1:名人は、なぜアジにイカが喰い付いたのが分かったのか?
A1:名人は僕の竿先の微妙な動きを見ていたそうだ。アジが泳ぐブルブルッという動きが、イカが泳ぐヒュイーンという動きに変わったのを見て、イカが喰い付いたと分かったようだ。
考察竿先の微妙な動きを注視すれば、海中での色々なことが分かる。

Q2:名人は、なぜイカの魚影が見える前にヤエンを投入しろと言ったのか?
A2:イカがこれ以上防波堤に近づくと道糸の角度がつき過ぎ、道糸を滑るヤエンがイカにハリ掛かりしなくなる(下図参照)ことを考慮したようだ。

考察頭を使い臨機応変な対応をせねば釣り上げることはできない。

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2. ゆっちのイカ釣り
 子守りをしていたゆっちとバトンタッチ。 アジを投げて間もなくイカが喰い付くが、寄せるタイミングが早過ぎ、不信に思ったイカが喰いかけのアジを離してしまう。

アジを交換し再度投げると、10分程でまたイカが喰い付いた。
今度は充分喰わせてから寄せていると、またも名人の声。
『今イカがアジ放したから、寄せるのちょっとストップしてみな!』
「エッ!今の竿先の動きでイカが離れたのが分かったの!」と感心。その後も
『またイカ戻ってきたぞ。今度はもっと慎重に寄せてみな。』
『根に糸が絡んだみたいだから、竿を縦に動かして。』

等、様々な助言のお陰でゆっちもアオリイカを釣り上げる。 400gと小さ目だったがゆっちは満足そうだった。

しばらくすると、ピタリとあたりが無くなり暑くなったので撤収、子供達が楽しみにしていたマリンスパ熱海のプール、温泉で2時間程遊んで(まっちはプールサイドのデッキチェア−で熟睡)まだ空いている上り車線で帰宅。
手軽で楽しいこのコース、我家の夏の定番コースの一つになりそうだぞ。
伊豆なっち釣り補助 伊豆海水浴


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