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10. 2018年いかだレース編 NEW

最後の戦い?


1. 今年のいかだレースは?    

 今年(2018年)もゴールデンウィークの数日前に多摩川いかだレースの案内状が届く。 今年は娘が大学受験、息子が高校受験で家族での出場はないだろうと、昨年レースに出た同窓生3人に声をかけると、皆参加できるとの返事。申込書に去年とほぼ同じコメントを書いて事務局に提出、今年もいかだの季節が始まった。

(2018コメント)
「今年が最後だから」とエントリーするのは今年で4回目。このまま繰り返し続けては、家族や友人の信用を失ってしまいそう。高校時代から30年にわたり培ったチームワークを武器に今年こそ30位以内の目標を達成し、有終の美を飾りたいと思います。』



2.事前説明会(6月13日)

 狛江市役所で行われる事前説明会に欠席するとエントリーできなくなってしまうため、皆に声を掛けると予想外に皆仕事の都合がついて全員集合。4人で説明を聞くのは初出場の7年前以来。

今年もゼッケンナンバー(=出艇順)を決めるくじ引きはゴッチャン。「今年こそなるべく序盤レースに!」という皆の思いが通じたのか通じないのか、引き当てた数字は46の第7レース。

『僕らみんな昭和46年生まれで今年46歳になるから最高の番号だよ!』

と気分を盛り上げつつ狛江駅で1年ぶりのカレーを食べて解散。



3.いかだ修理(2018年6月23日)

 自宅の外壁に昨年のレース以来立て掛けておいたいかだの状態を確認。 昨年全バラして全てのPPバンドを交換したので、今年はそのまま出れると考えていたが、交換したPPバンドが紫外線に弱かったようで、直射日光を受けていた面のPPバンドが簡単に切れてしまう。今年もまる1日かけて全バラ交換しないといけないの?


どうせ交換するなら耐候性の高いバンドにしようとネットで調査。 PPバンド(ポリプロピレンバンド)より耐候性能に優れたポリエステルバンドなるものが良さそうだが、業務用で900m単位(値段は1万円以上)でしか売られていないので購入を断念。

『数本切れたところで、バラバラにならなければ大丈夫だろう!』

と、劣化したPPバンドはそのままに、追加で数本の新しいPPバンドを巻いて済ますことにした。
練習会の前日、いかだを移動できずに困っていると、毎年色々お世話になっている狛江のヤスが手伝いに来てくれ、雨の中2人で追加のPPバンドを巻き、車への積載完了。ヤスいつもどうもありがとう。




4. 練習会in多摩川(2018年6月24日)

 これまでのレースで、ライン取りの重要性を痛感しているので、今年の試運転は多摩川の本番のコースでやろうと練習会を計画。
あいにくの小雨の中、メンバー4人とサポートのヤスでスタート地点の5本松に集まりセレナからいかだを下ろすも、川岸の傾斜がキツく水際まで下ろせない。
少し上流の流れが緩やかな支流との合流地点までいかだを運び、練習会開始。

昨年は、前から1・1・2と並ぶフォーメーションでレースに出場したが、後列の2人が右舷、または左舷しか漕げなく直進性に問題があったので、今回は全員が右舷も左舷も漕げるオーソドックスな1・1・1・1フォーメーションを選択。
前から自分・テル・ジョー・ゴッチャンの順に並び、最前列・最後尾の低身長コンビで舵取りをしつつ、持久力のある中央の2人でスピードを稼ぐ勝利の方程式を考え出した。

『じゃあ、この先ゴールまで本番のつもりで行こう!』

五本松を勢い良く飛び出すも、本番の緊張感がなく数分で4人の手が止まってしまう。体力が続かないのを、水深をチェックしたり作戦を考える素振りでごまかしつつ、バードウォッチングをしたり、練習に来ている他のいかだに声を掛けたりしながら、練習会の趣旨を忘れて流されるままの、ただの観光川下り。

「たまにこうやって仕事を忘れてのんびりするのもいいねぇ(笑)」

このままでは練習にならないので、

『10ずつ順番に声を出して一気にゴールまで漕ごう!』

と、ひとりずつ順番に1から10まで声を出しながら、声に合わせてオールを動かす。 「掛け声を止めた人が昼飯をおごる」というルールが効いたようで、4人の掛け声は途切れず、向かい風に押し返されることなく一気にゴール地点に到達。
「掛け声作戦」は、直進性を保ちつついかだをスピードに乗せられる強力な武器になると分かったが、「自作オール使用の2人」と「既製品オール使用の2人」が同じペースでオールを動かすのが難しいため、レース本番までに既製品オールを追加で2本購入し、4人とも同じサイズのオールで漕ぐと決める。

いかだを川から上げると、パイプ内にかなり水が入ってしまっていた。このいかだも寿命が近づいているようだ。

いつもの安楽亭で、焼肉ランチを食べながら「30位以内」という今年の必達目標を確認。
「今年30位以内に入れなかったら連帯責任でみんなで僕に昼飯おごりだな!」と言うと、「じゃあ、30位以内に入ったらまっちがみんなの昼飯おごるってことで手を打つよ!」と返されてしまう。
いかだも壊れてきたようだし、今年は何が何でも30位以内の目標を達成したい!


5. レース当日(2018年7月15日)

 5本松のスタート地点でセレナからイカダを下ろし、車をゴール地点に移動するも、第7レースまでは2時間以上。 予想最高気温35℃の炎天下でスタートを待つのは辛く、アイトピアセンターのトイレを利用ついでにクーラの効いたロビーでひと休みしていると、自分と同じ色の服の人が2人。

『なんだ、テルもゴッチャンもここで涼んでたのか!』

11時のスタート時刻が近づき円陣声出しで気合を入れるも、例年以上に締まらない(笑)
サポーターのヤスと別れ、チーム紹介のコメントの放送を聞きながらスタートラインに並び、ピストルの合図でレーススタート!

これまでの経験から、とにかくスタートは蛇行しないことが重要だと、川と平行にいかだを保つよう微調整をしながら進んでいると、#48「はたらけっ!バチBOAT」さんが、僕達の進路を塞ぐように左舷から突っ込んでくる。
巻き込まれる訳にはいかないので#48をやり過ごしてから一気に加速。第7レース6台の先頭でスタートの雑踏を抜ける。

船尾のゴッチャンとの息も合い、微調整を繰り返しながら理想的ラインをトレースしていくも、今年は例年以上に水深が浅いようで、いかだが川底に底付きしてしまう。

「流体中の物体は、その物体が押しのけた流体の重さと同じ大きさの浮力を受ける」というのはアルキメデスの原理だが、全長も全幅も短い僕らのいかだはサイズが小さい分だけ深く沈まないと浮力が得られない。他のいかだよりも喫水線が深く底付きしやすいのだ。


いかだを降りて船首に結んだロープを肩に掛けて川底を走る。 せっかく追い越した#48が川底を走る僕らの横を悠々と通り過ぎていく、、、。

50m程川底を走ると、水深が深くなってきたのでいかだに乗り込み、練習してきた秘策「掛け声作戦」を開始。4人で順番に声を掛けてオールを合わせながら追い上げる。
第6レースの最後尾の集団を追い抜くもまたも左舷斜め後方から蛇行してきた#48に進路を塞ぐように抜き返されてしまう。
落ちてしまったスピードを取り戻す気力も体力もなく、諦めかけていると、テルが奇想天外な雄叫び。

「海老高魂!」

一瞬「?」マークが頭に浮かび手が止まるも、高校時代、理不尽な仕打ちから抜け出そうと一緒にもがき続けた彼の言いたいことがなんとなく分かる気がして自然とオールを漕ぐ手に力が宿る。逆境でも気持ちだけは負けずに泥臭い戦いを続けてきたみんなも同じ気持ちのようで「力の抜けたオールさばき」は「いかだを進めるためのオールさばき」に変わり、いかだがクイグイと前に出る。気持ちは30年前の高校時代にタイムスリップ。みんなの頑張りに負けてはなるものかと力を振り絞る。
「順番制の掛け声」は「自発的な掛け声」に変わり、#48を抜き去り、第7レースの7台中トップでゴールイン!

『#48のおかげで楽しめたね。多分30位以内に入ってるでしょ!』
「まだ順位が分からないからおごれないな(笑)』

レースを振り返りつつ安楽亭でランチを食べ、ぶりっ子キャラでおなじみの さとう珠緒さんが盛り上げてくれる表彰席に出席。

表彰式の最後に順位表が張り出され、受験番号を探すかのように順位を確認。
結果はなんと30位のチームと1秒差の23分58秒で31位。
目標にあとわずか手が届かず今年のレースの幕が閉じた。

【狛江古代カップ2018 成績】
チーム名/メンバー: 海老高青春倶楽部 /ゴッチャン、ジョー、テル、まっち
順位/参加台数  : 一般クラス31位/86艇 
タイム/受賞   :  23分58秒/なし 

2018年いかだレース参戦 完】