■ ファミリーピアノ奮闘記
音楽ダメダメまっち夫婦が、なっち(娘)と一緒にピアノの練習をはじめた。 果たしてまっち、ゆっち、なっちはピアノを弾けるようになるのだろうか? 1. なっちにピアノを習わす? ある晩ゆっち(妻)から、『なっち(3才の長女)をピアノスクール(ヤマハ音楽教室)に入れたい』という相談を受けた。 どうやら、りなちゃん、まゆちゃん(ファミリーキャンプでも登場するなっちのお友達)のママ達に誘われピアノ無料体験スクール に行き、見事にヤマハの策略にはまってきたようだ。 りなちゃん、まゆちゃんママはピアノの経験があり、前々から自分の子供にもピアノを習わせようと 考えていたようで入会を即決したらしいが、ゆっちはその場で判断がくだせず入会を保留にしてきたそうだ。 2. 音楽の経験 まっちもゆっちも音楽とは無関係の世界で育ってきた。 まっちは小学校の全員参加の鼓笛隊で縦笛を演奏(するふり)をして以来ほとんど楽器を触っていない。(鼓笛隊で、数ある楽器の中から縦笛を選ぶのは、皆音楽ができない人間だった。)中学の音楽の授業はチンプンカンプン、高校では音楽を選択せずになんとか逃げ切ったという感じだった。 ゆっちも音楽の授業は、クチパク、弾き真似、居残りの苦い経験ばかりだったそうだ。(ゆっちの歌は音程が良く外れる。きっと音感を持ち合わせていないんだろう。) 幼児のピアノ教室は、親と子供の2人3脚となるそうだが、こんな親が音楽を教えられるのだろうか。 まっちはあえてそんな自分達が苦手な分野に子供を送り込む必要は無いと考えたが、 小さい頃から音楽で辛い思いをしてきたゆっちは、子供に同じ思いをさせたくない。という強い気持ちがあるようだ。 ゆっちは、 ・小さい頃ピアノを習えずに寂しい思いをしたこと。 ・なっちに教えながら自分もピアノにチャレンジしようとしていること。 ・ピアノが、子供と共に楽しめる趣味であること。 ・なっちが伸びなかくても、習わせる事で、親の責任を果たせた気になること。 をまっちにたたみかけるように説明した。 なっち本人が、りなちゃん、まゆちゃんにつられてやる気になっているようなので、ピアノ教室に通わせる事にした。 3. ピアノ(キーボード)購入 おもちゃ屋で買った980円のピアノでいつまでも練習させる訳にもいかず、なっちの4才の誕生日に電気屋にピアノを買いに行った。 店には3万、2万、1万円の、松、竹、梅、のピアノがあった。(すごく高いのは除外) それぞれの主な特徴はこうだ。 ・松:鍵盤が光るナビ機能+鍵盤を押す強弱が音に反映される強弱機能付 ・竹:鍵盤が光るナビ機能付 ・梅:単なるキーボード どうせ数カ月で押入れに入るんだからと、まっちは梅を勧めたが、教育となると財布の紐が緩むゆっちは松が気に入ったようだ。 ゆっちはすかさずなっちを味方につけ、2対1の多数決で松(CASIO製LK-180TV)に決定した。果たしてこの強弱機能を活かせる日は来るのだろうか? 4. 低レベルな得点争い 帰宅後ピアノの自動演奏によるハッピーバースデーをバックになっちの誕生日を祝った後、早速ゆっちはピアノの練習を始めた。 練習曲は超初心者向けの『チョウチヨ』(『ちょうちょ、ちょうちょ、なのはにとまれ』という誰もが知っている曲だ。) 光る鍵盤をたどると演奏ができ、最後に得点が表示される。 「ゲゲッ!25点」 「おっと60点」 「やったー72点」 と楽しそうに練習すっるゆっちを見ていたらまっちにも興味が沸いてきた。 まっちもチョウチョを演奏してみる。ゆっちは指番号表示画面に従い右手5本指で演奏するのに対し、まっちは右手人指し指の1本指打法だ。 得点は「55点」空かさずゆっち 「ふーんパパは55点かぁ。なかなかだね。」 「ムムムムム!」 まっちは音楽ができないのは良く分かっているつもりだが、天然音痴のゆっちに負けるのだけは納得がいかない。 「もう1回やらせてくれ!」 「イェ−65点!」 「今度は私!」 気付けば2人でピアノに没頭していた。 戦いは深夜にまで及び、1本指打法で98点をたたき出したまっちが、97点のゆっちに辛くも勝利した。 5. 楽器演奏の夢 まっちは楽器の演奏は全くダメだが、音楽を聞くのは好きだ。 友人のライブや、演奏会で気持ち良さそうに楽器を演奏する友人を見る度にこういった文化的な趣味を持った人をうらやましく思った。 しかし、楽譜がチンプンカンプンの自分には演奏等できるはずはないとあきらめて、自分で演奏をしようとは思わなかった。 『まてよ、この光るキーボードで練習すれば、1曲位なら両手でかっこ良く演奏できるようになるかも?』 ふとそんなアイデアが脳裏をよぎった。 そう言えば、お笑い芸人の出川哲朗がプロポーズのために必死にピアノを覚えるテレビ番組を見た事がある。 確か『星に願いを』を出川は両手で弾いていた。 そうだ、出川にできるなら自分にもできるはずだ。 そんな事を考えていたらどんどん夢がふくらんできた。 6. 2年間の奮闘記録 (気付けばこのピアノ奮闘記が1年半以上放置したままであった。) 「出川にできるなら!」と全ての力を1曲に集中し格好良く弾くことを目指したまっち、ピアノ教室に通い出したなっち(娘)、なっちに教えることでピアノの上達を目指したゆっち(妻)のこの2年間の奮闘記録を書いてみよう。 ■まっちの奮闘記録 まずは演奏曲の選択だ。キーボード光ガイド機能のついた曲から、「演奏の難易度が低く、それでいてうまく聞こえそうな曲」を慎重に探す。約ひと月かけて『展覧会の絵』『イエスタデー ワンス モア』の2曲に絞り込む。 どちらにするかさらに考え抜いた結果、ちょっと難しそうだが、ピアノ演奏をマスターした後、「エービーシャラララー、エビヲウヲウー」と英語で弾き語りができたらメチャクチャ格好良さそうだという発展性を重視し『イエスタデー ワンス モア』を練習することに決めた。 そう。確かに決めたはずだった、、、。 「、、、、、。」 まっち、まだ練習を開始していません(涙)! ゆっちさん、なっちさん、出川さん、生意気言ってすみません。僕がいちばんダメ人間でした。 機を逃してしまったようなので、ピアノは老後の楽しみにでもします。 (まっちの奮闘記 完) ■なっちとゆっちの奮闘記 ピアノ教室で毎週次々と出される課題曲を、時には泣きべそをかきながら練習を積み重ねたなっち、そして、そんななっちを飴と鞭でコントロールしつつ練習を続けた(続けさせた)ゆっちは、まっちとは対照的によく頑張った。 なっちは、練習開始半年後にグリンホール相模大野での発表会、1年後にパルテノン多摩での発表会を経験し、 最近では、両手で弾ける曲のレパートリーも10曲を超え、まっちには到底真似できない滑らかな指の動きで演奏するようになった (もちろん教えているゆっちもうまくなった)。 (なっちとゆっちの奮闘記 完) 7. 感想と今後 ■まっちの感想 なっち、ゆっちがこつこつ練習するのを見ていると、ピアノにうまくなる近道などない気がした。 口では大きなことを言いつつ行動が伴わない父親の醜態は、地道な積み重ねが必要だと子供に分かりやすく説明するための(理想的な) 反面教師として機能できた(単なる負け惜しみです、、、)。 ■ゆっちの感想 小学校の勉強をはじめる前に、母親と2人で地道な努力で困難を乗り越えたこの経験は、今後の大きな糧となることでしょう。 とりあえず、これで(音楽に関しての)親の役目を果たせた気がします。 ■なっちの感想 ピアノは好きだけど、ママと一緒じゃない児童科に進むのはちょっと、、、。 ピアノより、絵画や工作の方がもっと好きなので絵画教室に通わせてください。 本人の希望や適性等を考慮し、ピアノは一旦休止し、絵画教室に通わせることしにした。 今度は子供と一緒に絵画奮闘記でも始めるかな? (ピアノ奮闘記 完) |