■ ファミリー香港旅行記
サイパン旅行から2年、新たなる旅立ちの時はきた、、、、 1. 今がチャンス? 09年6月初旬、職場のパソコンに『今秋開催予定の会社創立50周年記念式典の開催場所が東京ディズニーランド内トゥモローランドホールに決定。従業員と家族に入園パスポートを配布するので参加すること。』とのメールが届いた。 このところ、子供達の「私をディズニーランド連れてって攻撃」をはぐらかすのに限界を感じていたため、これこそ「渡るに船」だと、翌朝家族にこのことを伝える。 「ヤッター!やっとディズニーランドに行けるよ!」 なっち、そうちゃん、そしてゆっち(妻)までもが予想以上に大喜びするのであった。 『なっちとそうちゃん、がっかりするだろうな。』 子供達にディズニーランドの中止を伝えるのは心苦しく、『自腹でディズニーランドに行くしかないかな?』なんて考えていた所、『香港旅行緊急値下げ!』のネット広告が目に留まる。そこには、東京ディズニーリゾート宿泊プランとたいして変わらぬ金額で行ける2泊3日の香港旅行プランが載っていた。
「確か香港にもディズニーランドがあったはず。本当にこの値段なら香港のディズニーランドに行っちゃう手もあるな。」 この安値のトリックを暴こうとプランの詳細に目を通してみる。 往路の飛行機が午後便、復路が午前便でホテルが郊外だったりと、安い理由はいくつかあるようだがそれにしてもやっぱり安い。どうやら今は下記のようないくつかの理由が重なりお値打ち価格で香港に行けるチャンスのようだ。 ・円高還元による安い料金設定 これらを考えるうちに、 夢物語であるはずの海外旅行が現実味を帯びてくる。 『ヤバイ、本気で行きたくなってきたよ。』 一気に熱くなるのは僕の悪い癖、もう1度落ち着いて良く考えるうちに、数週間前そうちゃんに読んだイソップ童話「アリとキリギリス」の『(夏に遊びすぎて冬を越せなくなり)杖をついて死にそうなキリギリスの4人家族の挿絵』が自分の家族と重なり心にブレーキをかける。 先が見えない今の時代は、海外旅行なんて行かずに将来のために蓄える方が利口かもしれないな。
特別な体験(自分達家族が特別だと考える体験)に立ち向かい、助け合いながら障害を乗り越え、共に学び共に成長していく積み重ねが家族のパーソナリティーや団結を生むのではないだろうか。 やがて子供は親元を離れていくが、サイパン旅行での体験は家族4人の心を結ぶ家族の絆としていつまでも在り続けることだろう。
そうちゃんはまだ幼稚園、焦って決めなくてもまだまだ長い時間があるような感じもするが、なっちが小学3年生であることを考えると、実はそう沢山の時間が残されている訳ではない。 お金なら後でいくらでも取り返せる(←そうであってほしい(笑))が、小さな子供達との時は戻らない。丁度香港旅行の話が盛り上がったこの機会に、夢の海外旅行を夢で終わらせないための行動に踏み出すことにした。 『楽しく過ごした夏の記憶を胸に、力を合わせて冬を乗り切るキリギリスの家族は、年中退屈な表情のアリの家族よりも、もしかすると幸せなのかもしれない。』 そんな考えが脳裏を駆け抜けていくのであった。
・日本からのフライト時間は4時間、時差はマイナス1時間。 サイパンで大自然を満喫した僕らが次に目指すべき場所は ココしかないように思えてきたよ♪ そして、さらに調べるうちに、香港の近くにの「マカオ」が 近年アジア屈指の人気観光スポットであると知る。そこで、マカオについても調べてみた。 ・香港島から高速船で1時間、面積は世田谷区の約半分。 なんだか(ディズニーランドよりずっと)面白そうじゃないか!イギリスの雰囲気の残る香港に、ポルトガルの雰囲気の残るマカオ観光を加えることで、東洋だけでなく西洋の歴史や文化についても学べ、子供達に良い影響を与えられそうだ。 3泊4日という限られた日程でにディズニーランド観光とマカオ観光を加えると、かなりタイトなスケジュールになり出費も増えるが、イケイケモードのメインストリートを走り出した今の自分に迷いはない。 『せかくだからマカオも行こう!今の我家に必要なのは、かわいい盛りの子供達と思いっきり旅行を楽しみ、まっちファミリーのクライマックスを満喫することなんだぜ!』 5. 新型インフルエンザの脅威 しかし7月に入り、「中国(特に香港)で新型インフルエンザ患者が急増」のニュースが流れ、 さらに旅行3日前になっちが小学校から「海外旅行者は帰宅後数日間は自宅待機」という手紙をもらってくる。 『どうして旅行を計画すると、その計画に合わせるかのように障害が立ちはだかるのだろう。』 しかし、そんな心配よりもずっと大きな期待に胸を膨らませるうちに旅行出発日の朝がやってきた。 6. 旅行1日目(2009年7月11日) スターフェリーで香港島に渡り、タクシーでワンメーター(180香港ドル=約250円)の中華料理レストラン、美心皇宮(メイサムウォンゴン)で、まずは腹ごしらえ。十数種類の料理から4品を選べる3〜4人前のセットメニューを注文すると、丁度満席ということもありコックが1品づつ筆記と英語で丁寧に説明してくれる。 『オーケー、オーケー、これは、ビックなシュリンプをボイルして、ホットに味付けしたメニューね。アイ アンダースタンド!』 と旨そうな料理を4品選び円卓に着く。始めに大皿に乗った海老調理、次に鶏肉料理が運ばれてきた所で悪い予感が。 『あれ、あと注文したのってスペアリブと魚料理だよね。もしかしてご飯とか麺料理も選ぶべきだったんしゃないの?』 悪い予感的中、肉・魚のオンパレードに、子供達は飽き、まっちはもったいないと大食いして最後は胃がもたれてしまうというなんとも後悔の残る夕食であった。 『なんだよこの長蛇の列!聞いてないよ〜!』 サタデーナイト&台風接近中の天気予報でホームは人であふれている。列の最後尾に並びピークトラムを待っていると、長旅の疲れで今にも眠りそうな子供達。 『おい、寝ちゃだめだなっち!目を開けるんだそうちゃん!』 ピークトラムで急斜面を登り山頂駅に到着。さらにそこからエスカレーターを乗り継ぎ、展望台最上階の扉を開く。目の前にはビクトリアハーバーと高層ビル群の大パノラマ。半分目が閉じていたそうちゃんが意外にもイキイキと歓声を上げる。 「うわぁー、すごーい!」 台風接近のせいで雲が立ち込めてはいるが視界はクリアー、空全体が紫色に輝いた独特な雰囲気が漂う夜景は確かに美しい。ココでしか味わえない最高の夜景を時間を忘れて鑑賞する。
「オーケー、ワンハンドレット(100ドル=1200円)オール!アンダーシートンネルインクルード!」 という好条件(?)にようやく言葉を理解し、子供2人を担いでタクシーに乗り込む。猛スピードで裏道を使いまくる若く腕のいい運転手のお陰で渋滞をうまく回避しあっという間にホテルに到着、何とか日付が変わる前に子供達をベッドに寝かし付けひと安心、なんとも慌ただしい旅行1日目であった。 6. 旅行2日目 ホテル裏ショッピングセンター内のマクドナルドに開店と同時に駆け込み、マカロニのような食材にスープをかけて食べる初めて目にする(香港限定?)朝食メニューを食べ、バスとジェットフォイル(ジェット噴射で船体を持ち上げて走る高速船)を乗り継ぎマカオに向かう。 「ジェットフォイルは滑るように走るので船に弱い人でも安心」とガイドに書いてあったが、台風接近によるうねりの影響があるようで予想外の大きな揺れ。船酔いは万国共通のようで船内の様々な人種の乗客は皆苦しそう。朝からはしゃいでいたなっちとそうちゃんもマカオ到着の頃にはすっかり言葉数が少なくなっていた。 入国手続き(独立行政区のためパスポートが必要)を済ませ、マカオのシンボル「セントポール大聖堂」、ポルトガルの雰囲気が色濃く残る「聖ドミニコ教会」、石畳が印象的な「セナド広場」、15世紀の中国(明)時代の建造物「嫣閣廟(マコウミュウ)」、マカオが一望できる「マカオタワー」を観光。マカオの複雑な歴史や特異な現状を肌で感じることができた。各々についての説明は長くなるので省略、これら観光地の案内をしてくれた(ハリセンボンの春菜(太った方)似の)ツアーガイドさんのことを書いておこう。 この中国人の現地ガイドさん、お勧めの観光方法、写真を撮るのに最適な場所、集合時間等を臨機応変に分かりやすくガイドしてくれつつ、カジノで潤うマカオ住民の恵まれた暮らしや、中国からの密入国事情、金さえあれば何人でも妻を迎えられるが全ての家事を任されているマカオ男性の暮らし等、現地に住むガイドさんならではの話を面白おかしく聞かせてくれる。決して日本語が上手い訳ではないが、堂々と話す言葉は聞き取りやすく、笑いのツボを押さえたトークについ笑ってしまう。 「せっかくマカオに来たんだからこの国の隅々まで知って楽しんでもらいたい」という気持ちが滲み出た発言や態度で日本人ツアー客の心を鷲掴みにして1つにまとめ、別料金のマカオタワーの展望台にツアー客全員を登らせてしまう中国人の商売上手ぶりも発揮。 異国人とのコミュニケーションには、言葉の上手さも必要ではあるが、滲み出る人間性や、伝えたいと願う思い(スピリット)、堂々と自分の意志を伝えようとすることがそれらと同じ位重要であると気付かせてもらえた。
お世話になった現地ガイドさんと涙で別れ、香港行きジェットフォイルに乗り4人で爆睡。そうちゃんは香港入国手続き中も目を覚まさず、ホテル到着後のベットでようやく目を覚ました。 食後はオープントップバス(天井が無い2階建てバス)で、尖沙咀(チムサーチョイ)〜油麻地(ヤウマティ)〜周辺の香港映画に出てきそうなネオンの洪水の町並みを観光。 7. 旅行3日目 早起きしてホテル前の香港島の町並みを海越しに見渡せるプロムナードを散策。8時からはじまる太極拳を見ようと会場の香港美術館近くまで行くと、なっちとそうちゃんの所に太極拳マスターのパンドラさん(ウィリアムさんの奥さん?)が駆け寄り「一緒にやりましょう!」と気さくに話し掛けてくれ、用紙に名前を書き太極拳を体験。子供達は15分位で飽きてしまっていたが日本ではできない貴重な体験ができた。 急いでホテルに戻り、昨晩「覇王山荘」でテイクアウトしたチャーハン(プリプリの海老やチャーシュー、パラパラのご飯が旨かった)を食べ、バスで香港ディズニーランドへ。開園15分前に到着するが駐車場もメインゲート前もガラガラ、 「もしかして偽物のディズニーランドに連れて来られちゃったんじゃないの?」 なんて冗談を交わしつつ開園と同時に入場。 香港ディズニーランドは、敷地の狭さや中国人ゲストのマナーの悪さ等、マイナス要因ばかりが話題になるが、そんな感じはなく1日気持ちよく楽しめた(ディズニーランド鉄道で外周を周ると確かに広くはないが、幼児連れで灼熱の暑さの中を1日で回ろうとするには充分過ぎる広さがあった)。 日本よりも過激でなっちが半べそになった「スペースマウンテン」、待ち時間0分のため4回連続で乗ったそうちゃんお気に入りの「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」、意外にも混んでいたホンダ提供ゴーカート「オートピア」、日本エリアに歓声を上げてしまい、周りに国籍を晒してしまった「スモールワールド」、何も香港まで来て乗らなくても、、、と思えた「マッドハッターのティーカップ」、「注文しすぎて(予想外の量に)食べ切れなかった「ロイヤル・バンケット・ホールのランチ」、間違えて広東語ガイドの船に乗ってしまい、周りに合わせて笑う振りをした「ジャングルリバー・クルーズ」、そうちゃんのトイレがヤバかった「フェスティバル・オブ・ザ・ライオンキング」、水鉄砲の直撃を受けてずぶ抜れになった「ディズニー・オン・パレード」、最前列中央で観た香港ディズニーランド限定の「ゴールデンミッキー」を回る(オススメはゴールデンミッキーとライオンキング)。香港ディズニーランドの約7割のアトラクションを回ったが、日本人観光客は少なく、(9カ国語のガイドがあるアトラクションもあるというのに)日本語のガイドは全く無い。しかしながら、東京で馴染みの施設だけに不便はなく、日本語が通じないのも何かのアトラクションであるかのように夢の世界を楽しめた。 5時でディズニーランドを切り上げ、初日から子供達が入りたがっていたホテルのプールでひと泳ぎ。そして夜7時からアベニュー・オブ・スターズで「シンフォニー・オブ・ライツ」という夜景のショーを鑑賞。朝この辺りを散歩したせいもあり、子供達は、まるで現地の子供のように地面に埋め込まれた点滅するライトを踏んだり追い掛けたりしながら無邪気に遊ぶ。通行人の子供を見る目は温かく、通行人達が気軽に話しかけてくれる。旅行中子供が足手まといに感じることも確かに多いが、気軽に声をかけてもらえコミュニケーションのきっかけを与えてくれるのはありがたい。
『ギャー、はなぢー!!!』 どういう訳かそうちゃんがシーツに血を飛び散らせているので、シーツをはがし洗面所で洗っていると、もう1つの洗面所から今度はゆっちの叫び声。 『ギョエー、トイレの水がぁー!!!』 そうちゃんが鼻血を拭いたティッシュをトイレに流そうとして詰まらせ、止まらなくなったトイレの水で洗面所が大洪水。こうして香港最後の夜も慌ただしく過ぎていくのであった。 8. 旅行4日目 飛び立つ飛行機の中で、「またいつか香港に来ようね」と話し掛けてくるそうちゃんに、『今度はママと2人で来ようかな。』なんて大人気なく応えると、「いいもん、内緒でパパ達の後をついて行っちゃうもん。」とそうちゃん。 2年前のサイパン旅行では、そうちゃんが3歳、なっちが5歳とまだ小さく何かと行動が制限されたが、今回は2人の体力や知力が大幅に向上し、ほぼ思い通りの満足のいく旅ができた。 とは、ジェラール・シャンドリの言葉であるが、子供が親の与えるものを素直に受け入れてくれる(まだ手の内にある小学生の)うちに、あと2〜3回は、海外に行きたいのだが、、、。 〔ファミリー香港旅行記 完〕 |