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作曲奮闘記

偶然手にした1冊の本をきっかけに、楽器未経験ながら作曲に挑戦!


1. 作曲(DTM)との出会い

(1)子離れできない親

まっち:『今週末家族スキーに行こうよ!』
娘  :「部活だから無理」
息子 :「塾だから無理。」

娘、息子が高校、中学に進学すると一緒に行動する機会が激減。

『子供の背中を未練たらしく追い掛ける親にだけはなりたくない!』

と思っていたはずの自分が、まさに典型的な「子離れできない親」になりかけていると気付き唖然。 根性自転車旅行やバイクレースのように気合や準備が必要でなく、もっと気楽に取り組める夢中になれるものが欲しいと感じた。

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(2)合唱体験

 そんな中、合唱三昧の日々を送る親友テルが、自分が参加を決めた企画合唱団(数ヶ月後の発表会を目標に練習する合唱団)の練習の見学に来ないかと誘ってくれる。あまり気乗りしないも「絶対まっちに向いているから一緒にやろう!」と何度も誘ってくれるので、とりあえず観に行くことにした。

自宅から程近い会場の小部屋に入ると、先生1人に対して生徒はテルを含めた8人、見学者は僕1人。

「歌える曲があれば適当に歌っちゃってください。」

と課題曲4曲の楽譜を笑顔で手渡され練習開始。 初めの課題曲、混声2部合唱の『君をのせて(天空の城ラピュタ主題歌)』は自分にも歌えそうだと感じたが、ソプラノ・アルト・テノール(テナー)・バス(ベース)の4パートに分かれる混声4部合唱の課題曲『さびしいかしの木』になると、自分が歌うテノールのパートを譜面から読み取らねばならなくなる。

「じゃあ、7小節目のフラットのGから始めるよ!」

と言われても、譜面から歌い出しのタイミングもメロディーラインもさっぱり読み取れず四苦八苦。隣で歌うテルの口の動きを盗み見て歌ううちになんとか練習時間が終了。
先生や周りの方々はとても親切にしてくれたが、音楽とは無縁に生きてきた自分にはハードルが高すぎると感じ、入団は見送った。

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(3)DTMとの出会い

そんな中、職場で販促関係の部署に異動となり、DTP(デスクトップパブリッシング)の勉強をする必要に迫られた。 帰宅途中の書店でDTP関係書籍を読み漁っていると、隣のDTM(デスクトップミュージック)棚に目が留まる。

「DTMって昔TMネットワークがやっていたような音楽のことかな?」

興味本位でペラペラとページをめくるうちに、DTM用のソフト「GarageBand」が自分のパソコン(MAC Book Pro)に標準でプリインストールされていると知り、俄然前のめりになる。

『表舞台で歌を歌うより、裏方で歌を作る方が自分に向いているかも?』

難しいことは後回しにして、とりあえず曲を作っちゃおうというコンセプトが気に入り、「作りながら覚える3日で作曲入門/monaca:factory」を買って帰った。



2.人生初作曲  

 『作りながら覚える3日で作曲入門』の準備編(Mac編)を見ながらMacBookPro内に埋もれている『GarageBand』を初起動して3日間の作曲プログラムのスタート!


▪️1日目 :ドラム・ベースパートの作成
ドラムパートは、テキストの見本通りに、バスドラム、スネア、ハイハットを打ち込むだけ。1小節分作ってあとはコピーするだけなので超簡単。
次に、『F→G→Em→Am』という今回の曲で使うコード進行を学び、コードの土台(ルート)となる「F=ファ、G=ソ、Em=ミ、Am=ド」を4拍ずつ繰り返すベースパートを作成。これまたテキストの見本通りに打ち込んでコピーする単純作業。

▪️2日目 :ピアノパートとサビの作成
和音の基礎を学び、『F→G→Em→Am』のベースパートにピアノの和音を重ねて厚みを持たせる。そして、いよいよここからが作曲の領域。
これまでに完成した、ドラム・ベース・ピアノパートを聴きながら頭に浮かんだサビのメロディをMacの擬似鍵盤から入力。初めはイマイチなメロディーでも、後から音程や長さをいくらでも調節できるため、修正を繰り返すうちにそれらしいサビができあがる。

▪️3日目 :曲の完成
コード進行の原則〔トニック(C)、サブドミナント(F)、ドミナント(G)の関係性〕を学び、 イントロ〜エンディングまでの曲全体を設計してメロディーを完成させる。
最後に安直で能天気なメロディーからイメージを膨らませた歌詞を付けて人生初作曲曲『青田のように』が完成!

『青田のように』 (クリックで曲ページへ)



3.とりあえず10曲  

 曲作りで感じた、この世に1つしかないオリジナルなものを作れたという満足感が心地よく、「熱くなっているうちに、もう少し突っ走ってみよう!」と、1ヶ月で10曲作る目標を立てて作曲月間スタート。

作曲には主に片道2時間の通勤時間を利用。本すら開けない往路の満員電車でメロディーを考えスマホのボイスメモに鼻歌として録音。
復路で鼻歌に歌詞を乗せ、夜中にMacでデーター化する日々を続け、曲がりなりにも10曲を完成させた。

『とりあえず10曲』 (クリックで曲ページへ)



4 10曲作って感じた2つのこと 

(その1)作曲とデザインの類似性
 工業デザイン学科を専攻していた学生時代、(対象製品のデザインのアイデアスケッチを100通り描いたり、1時間で何十枚もの抽象画を描くなど)頭を柔らかくするための授業を受けてきたが、この時に習得した「発想豊かに思考を展開する能力」が作曲に活かせると感じた。

また、当時のデザインの恩師の言葉『人間の脳に全く新しいものを作り出す能力はない。自分で作り出したつもりのものでも、それは必ず過去に見聞きしたものの組み合わせに過ぎない』が印象に残っているが、これも、作曲とデザインに共通するキーワードだと思う。

芸術という大きな視点で捉えれば、デザインも作曲も似たようなもの。自分に楽器の経験がないと劣等感を抱くのではなく、クリエイティブな世界での経験を生かせる得意分野だと前向きに考え、過去の経験(観てきた物・聴いてきた音楽)を存分に活かし、オリジナリティー溢れる作品を生み出していきたい。


(その2)作曲・作詞・編曲について
 曲を作るには、「作曲」「作詞」「編曲」の3つの工程があるが、それぞれに必要なスキルが全く違うと強く感じた。

音符のデザインと考えれば「作曲」はなんとかなりそう(音楽の経験がなくとも、クリエイティブな感性でメロディーは作れそう)だが、「作詞」には言葉を扱う能力、「編曲」には楽器を演奏する能力がそれぞれ必須であり、自分にはこれらの能力が圧倒的に不足していると感じた。

作詞や編曲は自分にとって苦痛でしかなく、例え自分が膨大な時間を掛けたとしても優れた作詞や編曲ができる可能性はかなり低い。ならば、作詞、編曲はそれぞれ得意な人の力を借り、自分は秀逸なメロディーを生み出すことだけに専念するのが良いのではないだろうか。 そのためには、作詞や編曲をしてもらえるレベルのメロディーを作ることが最重要課題であろう。



5. みやびさんとのコラボ  (明かりを灯しているから編) NEW

 作曲は楽しく、GarageBandで作った主旋律に仮の歌詞を付けた曲のストックは20を超えるも編曲が全く追いつかない。

『誰か編曲だけやってくれる人がいればBESTなんだけど、そんな都合のいい話転がっていないよな。』

そんな中、ジモティーというインターネット上の地域情報掲示板を利用したついでに「編曲」というキーワードで検索してみると、こんな投稿を発見。


『都合のいい話、転がっていた、、、』

22歳の若者が40代半ばのおじさんからの返事を求めているとは思いにくいが、自分と逆の立場で音楽に取り組むご近所さんが見つかったのは奇跡のようだと、勢いに任せて問い合わせメールを送る。

すると、1時間程でこんな返信。

メールのやり取りを重ねる毎に、みやびさんの音楽に真面目に取り組む姿勢に好感度はうなぎ上り。
丁度完成したばかりのメロディーの鼻歌を送ると、お試しにサビの部分を「シンセ」「ポップス」「青春ロック」の3バージョンに編曲してくれたサンプルが届く。

シンセ サンプル


ポップス サンプル


青春ロック サンプル


編曲の効果は絶大で、3つのサンプルのどれもが元が自分の鼻歌だったと思えない感じになっていて感動!お礼をしつつ、「ピアノを伴奏に歌い上げるバラード調の自分のイメージとは少し違った。」と伝えると、「では、専門ではありませんが、バンド&ピアノアレンジに挑戦してみます」と返信。そして、最終的にはボーカルを入れてくれて、世界にひとつのオリジナル曲が完成した。

『明かり灯しているから』 (クリックで曲ページへ)