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13. 親子サイクリング編

親子での理想のモトクロスライフは夢と終わりそう。
少しハードルを下げ、親子自転車ライフをはじめてみるか。


1. 親子江ノ島サイクリング( 2014年4月29日)

 友達と富士山1周サイクリングに行っている最中、今春小学5年生になった息子から「パパ疲れた?どこまで走れた?完走できるといいね!」などと留守電メッセージが数時間おきに3回も入っていた。『もしかすると一緒に富士山走りたかったのかな?』などと考えながら家に帰ると、

「今日、米を担いで階段の上り下りを50本やったから僕も自転車旅行に連れてって!」

と言うではないか。以前僕が『もう少し体力付けないと長距離サイクリングは無理だな』と言ったのを息子は覚えていたようで、体力が付いたと認めてもらおうと独自に考えたトレーニングをしてみせたという訳だ。

目標達成のために行動を起こしてアピールする姿勢は今後も持ち続けて欲しいので、目論見通りの成功体験を積ませてやろうと、『じゃあ、明後日のお休みに一緒に自転車で江ノ島まで行ってみる?』とたずねると笑顔でうなずく息子であった。

江ノ島には境川サイクリングロードを使えば手軽に行ける印象があったが、家からの往復距離を確認すると約90キロもあり、しかも家から境川サイクリングロードまでには大人でも上り切るのが難しい3つの急坂を超えねばならない。

『行き先変更した方がいいかな?』

一瞬躊躇するも、息子のモチベーション最高潮の今のうちに長距離を走り自信を付けてしまうのも悪くない気がして(走れなくなったら電車で帰ってくればいいだけだと)目的地は江ノ島のままとして、初の親子長距離サイクリングの当日を向かえた。

早朝5時15分、先月から息子が乗るようになった、お姉ちゃんのお下がりのなんちゃってマウンテンバイクの錆びたチェーンに油を差して自宅を出発。息子はまだ24インチを上手く乗りこなせないので、交通ルールに気を配りながら境川サイクリングロードが通る町田駅を目指す。

出発早々、大好物のさきイカを食べようとカゴに手を伸ばした息子が植木にぶつかり転倒し、走りながらの飲食禁止ルールを発令。先行きに不安を感じるも、その後は2回のコンビニ休憩を挟みつつ急坂を順調にクリア。まだ人のまばらな町田駅まで来ると、息子はここまで来れただけで感動している様子。

境川サイクリングロードからは、息子に自分のペースで前を走らせる。一般道では道幅や交通量から、歩道と車道を使い分けねばならなかったが、サイクリングロードは何も考えずに走れるのがいい。藤沢市に入ると潮の薫りが漂ってきた。

最後の数キロは交通量の多い一般道を走らねばならず、通行人を避けて歩道の乗り降りを繰り返すうちに息子が2度目の転倒。しばらくトーンダウンするも10時半頃江ノ島に無事到着。

「これなら3時間は釣りができる!」と防波堤の釣り人のバケツを覗きながら歩く息子に、『夕方から雨の予報が出ているし、復路は往路の倍疲れるから釣りはまた次の機会にしよう!』と説得交渉をして江ノ島神社を参拝。参道でおみくじを引くと「旅行は事故に注意」との神のお告げ。復路も安全運転に細心の注意を払った方が良さそうだ。
ハルミ食堂で生シラス丼と江ノ島ラーメンを食べ、江ノ島大橋のたもとで砂浜遊びをして昼過ぎに江ノ島を後にする。

途中、イイダ牧場で牛を見ながらアイスを食べていると、いよいよ雨が降り出した。六会日大前駅からの電車帰宅を提案するも、

「どうしても完走したい!」

と息子はアイスを急いで頬張り自転車を発進させる。いつに無いやる気と素早い行動に驚きつつ後に続いて小雨のサイクリングロードを北上。
次第に雨が激しくなり、大和市に入るとサイクリングロード沿いの屋根付きベンチでは雨風がしのげず、体も冷えてしまったので、246沿いのパチンコ屋のイートインスペースに退避。

息子は疲れに眠気が混じりかなり参っているが、残りは20キロ弱、ここまで来たからには完走の達成感を一緒に味わいたい。苦肉の策として、

『これを食べればどんな疲れも解消できる!』

と「速攻元気」という値の張るゼリー状の食べ物を与えると、「何だか元気が湧いてきた!」とやる気を取り戻した様子。幸運にも雨も小降りになったので、また走り出す。

この時間、町田駅周辺は交通量が多く危険なため、成瀬でサイクリングロードを離れ、TBS緑山スタジオの裏、真光寺川サイクリングロードを使って自宅を目指す。何とか暗くなる前に自宅に到着。

「お店に入った時はもうダメだと思ったけどあのゼリーのおかげで何とか走り切れた。今日は今まで生きてきた中で1番頑張った!」

と言う嬉しそうな息子とお風呂に直行。頑張った息子の寝顔がいつも以上にかわいく見えた.

【走行データ】
走行距離:89.3km(往路 43.6km/復路45.7km)
走行時間:7時間59分(往路 3時間46分/復路 4時間13分)


2. 岡本太郎美術館サイクリング(2014年8月30日)

 これまで「芸術は爆発だ!」で有名な芸術家 岡本太郎には、「頭のネジが飛んだおかしなオジサン」というイメージしかなかったが、偶然手にした彼の著作「自分の中に毒を持て」でイメージが大きく変わる。 毎日を戦い続けるかのような真剣な生き様に、惰性で生きているような最近の甘々な生活を反省。自分らしく生きる為にもっと頑張らねば!と考えさせられ、すっかり彼のファンとなってしまった。

『確か近所に岡本太郎美術館があったような、、、』

と夏休み終了間際で暇そうな息子を誘い自転車でGO!

11時過ぎに自宅を出発し、まずは近所にできたおにぎり屋で腹ごしらえ。裏道で新百合ケ丘駅まで出て、その先は小田急線沿いに世田谷通を都心方面に進み13時前に美術館に隣接する生田緑地に到着。

まずは生田緑地のプラネタリウムを鑑賞。このプラネタリウムに来るのは約30年ぶりであるが、パンフレットが昔集めていたものと同じ雰囲気を保っており好印象。「惑星の追いかけっこ」というプログラムを楽しく鑑賞。説明員さんが今日の天気や時事ネタを織り交ぜつつ生の肉声で解説してくれるのも昔と変わらず好印象。星好きだった少年時代の記憶がよみがえる。

実験工房で3Dメガネ作りをした後、岡本太郎美術館へ移動しパッション溢れる作品の数々を鑑賞。

美術館出口付近に参加型企画展会場があり、息子が「仮面作り」にチャレンジ。どんな顔を描くのか後ろから眺めていると、

「お父さんもぜひ一緒にやりましょうよ!」

と説明のお姉さんに声をかけられ数十年ぶりにクレヨンを握り美術体験。仮面は美術館保管となるそうで喜んで進呈し、美術館を後にした。

帰り道、読売ランドを過ぎた辺りでバハル(Bahar)というインド料理店を発見。クリーミーで美味しい本格的なカレーを腹いっぱい食べ、すっかり暗くなり、秋の気配漂う夜道を帰宅。
スポーツの秋・芸術の秋・食欲の秋を先取りする親子サイクリングであった。

【走行データ】
走行距離:24.1km、走行時間:2時間4分、平均速度:11.6km
 


3. 初ボウリングサイクリング(2014年9月6日)

 このところ、時間を見つけては好奇心旺盛の息子と卓球やプール、カラオケ、ダーツ、ビリヤードなどに遊びに出掛けている。
今度はボウリングをやってみたいと言うので、自転車で行き易そうなボウリング場を調査。ボウリング場への通り道にある都立M高校で丁度文化祭が開催されており、行くなら今日だと9時過ぎに自転車で自宅を出発。

急坂を迂回しつつ町田駅を抜け、1時間程でホテルラボール千寿閣に到着。1ゲームで終わるつもりが息子に上達の喜びを味合わせてやろうと3ゲームも続けてしまい店を出るともう昼過ぎ。 時間とお金の節約のため昼食にミニストップで食べたもんじゃ風ペヤングはいまいちであった。

帰り道に寄った高校文化祭は大盛況。この学校の文化祭は映画上映や演劇上演に定評があるようだが、偶然入った教室で見た壁磨きに青春を掛ける高校生達の人間模様を描いた演劇「壁部」は、なるほど高校生のエネルギーをまざまざと見せつけられる見応えのある作品であった。

息子は縁日が気に入り、壁面型モグラたたきの記録を更新しようと何度もチャレンジ。「これ、足で蹴ったらダメですか?」と真顔で尋ね、「それはちょっと、、、。」と高校生達を困らせていた(笑)。

帰り道、シャトレーゼでアイスクリームを食べて帰宅。秋らしい1日であった。

【走行データ】
走行距離:22.3km  走行時間:1時間55分


 

4. 親子高尾山サイクリング(2014年10月4日)

 前々から気になっていた高尾山トリックアート美術館に行こうと地図を眺めるうちに、高尾から多摩川までサイクリングロードが伸びているのを発見。この浅川サイクリングロードを使えば自転車で楽しく高尾まで往復できそうだと早朝5時半暗闇の自宅を出発。

鎌倉街道を北上し、聖跡桜ヶ丘駅の裏から多摩川サイクリングロードを1〜2キロ程走り、府中四谷橋の先から浅川サイクリングロードに入る。15分程走ると関東三大不動の1つである高幡不動尊が見えてきた。

重要文化財の仁王門を潜って境内に入るも、まだ7時になったばかりのせいか全く人がおらず貸し切り状態。
手水舎と常香炉で身を清めて参拝。律儀に全ての賽銭箱に小銭を投げ込み手を合わせる息子は、不動堂、五重塔、大師堂、聖天堂、大日堂と次から次へと現れる賽銭箱に「これじゃあお金無くなっちゃうよ」と苦笑い。

コンビニで軽い朝食を済ませサイクリングロードを再び西へ。この浅川サイクリングロードは多摩川サイクリングロードのように道幅は太くはないが、その分人も自転車も少なく快適に走れる印象。河岸の選択を誤り未舗装路がはじまるも引き返すのも面倒でそのまま突き進む。予想以上の荒れた獣道に無駄に体力を消耗してしまい、甲州街道との交差点にある八王子ニューグランドのビクトリア教会でひと休み。ここで披露宴を挙げてから15年も経ってしまったのが何だか不思議。

彼岸花やコスモスを横目にさらに30分程走ると陵南公園傍でサイクリングロードは終点となる。目と鼻の先に多摩御陵があるらしく行ってみる。

車も人も通らない急坂を上り多摩御陵正門前まで行くも、この先墓まではかなり歩かねばならぬようで引き返そうとしていると、

「お墓まで10分もかからないのでぜひ観に行かれたらどうですか?パンフレットをお持ちしますのでお待ちください!」

と暇そうな警備員の爺さんが近くに停めた車から親切にもパンフレットを持ってきて4つの墓の説明をしてくれる。「昭和天皇が崩御された日覚えているでしょ?」との問いかけに、「確かあの日は高校生で、、、」などと思い返すうちにすっかり乗せられ墓まで行ってみることに。

表参道は工事車両専用で通行止となっており、北参道を使い、大正天皇、貞明皇后、昭和天皇、香淳皇后のお墓を参拝。帰り際爺さんに工事について尋ねると、非公式ながら興味深い話が聞けた。

11時過ぎに高尾山トリックアート美術館に到着。まずは至る所に様々なトリックが隠されている9つの小部屋を周る。息子は「うおー、すごぉーい!」といちいち声を上げて楽しそう。地下1階・地下2階、地上2階にも様々な展示があり息子は終始興奮しっぱなし。トイレの鏡に覗き込む人影が映るなどレトロで遊び心溢れる展示の数々に大満足。子供も大人も一緒に楽しめる美術館であった。

復路は若干下り坂となるせいか息子は往路よりいいペースで自転車を飛ばす。ラーメン二郎に寄ろうとサイクリングロードを反れても勢いは衰えず、最大の難関「野猿峠」も歩かずに上り切る。半年前とは見違える我が子の成長にびっくり!

ラーメン二郎(八王子野猿街道店2)に到着すると店には20人程の行列。待ち時間に、張り紙やスマホで注文の仕方(コール)や作法をチェック。

『今日はたくさん体動かしたから、ミニラーメン(息子はさらに小さいプチラーメン)なら楽勝で完食できるでしょ!』

と自販機で食券を購入すると、「子連れに優しい」というネット評判通り優先的にテーブル席に案内してくれる。練習通り「野菜増し、ニンニク、油普通で!」とコール。

「美味い!」と軽快に箸が進んだのも最初の3分、食べても食べても減らないこってりとした太麺に、徐々に現実を理解。

「この量絶対に食べ切れない!」

10分もすると完全に戦意喪失。「完食しないと怒られる(汗)!」という噂を耳にしていたため、店員の忙しそうなタイミングを見計らい負け犬のようにそそくさと退店。怖くて後ろは振り返れない。

あまりのショックにしばらく放心状態、コンビニでドリンクヨーグルトを飲んで胃を落ち付かせようやく平常心を取り戻す。

南大沢で友人のライブを聴いていたテルと多摩センター駅で落ち合い所用を済ませ近況を報告し合う。極楽湯に入るつもりだったが小雨が降ってきたので、温泉はまた別の日に行こうと約束。機嫌を損ねた息子と家路を急ぎ16時半頃自宅に到着。

【走行データ】
走行距離:61.5km(往路33km/復路28.5km)、
走行時間:4時間53分、 平均速度:12.5km

 


5. 山手線1周サイクリング(2014年10月12日)

 今秋、息子と1泊2日で富士山1周サイクリングに行きたいと考えていたが、天候不順と懐事情により代替案を検討。富士山の代わりに日帰りで回れる山手線を1周してみることにした。

早朝、セレナに自転車2台を積んで自宅を出発。
6時45分、かつて多摩川サイクリングで利用した多摩川河川敷の瀬田駐車場にセレナを停めて、まずはスタート地点と決めた10キロ先の渋谷駅を目指す。
R246沿いのコンビニのイートインスペースで朝食におでんを食べ、8時に渋谷駅に到着。ハチ公の前で記念写真を撮り、反対時計回り(内回り)で山手線1周のスタートを切る。

駅とほぼ同数のコンビニでいちいち休憩しながら、恵比寿駅、目黒駅、五反田駅、大崎駅、品川駅、田町駅、浜松町駅、新橋駅、有楽町駅をのんびり周り、11時12分東京駅に到着。ひと駅毎にスマホに記録するボイスメモ(到着時刻、走行距離、ひとこと感想)もあっというまに10を超え、緊張気味だった息子の口調も滑らかになる。

ガード下にひしめく怪し気な飲食店を横目に神田駅、秋葉原駅を過ぎ、13時から歩行者天国になるらしい秋葉原中央通りの歩道を自転車を押しながら歩いていると銀座銀ダコから美味そうな香り。誘惑に負け店前のガードレールに腰掛けて熱々のたこやきを頬張っていると、銀ダコのビルの上階にAKB48劇場の看板。

「なんだ、AKB劇場に行きたいならそう言ってよ!」

と茶化すと、ホントに嫌そうな顔をする小学5年生。

「AKBなんて興味ないし僕が行っても多分怒られる。」

割と冷静な意見を言う息子を残し、話のネタに8階までエスカレーターを上り社会勉強(笑)。

そう言えばかつてラジオ会館のコイズミ無線で買ったスピーカーユニット(FOSTEX FW220)の縁が破けてしまっていたと移転先店舗へ。FW220は数年前に廃盤となり、修理も新品購入もできないという残念な回答。代替可能品について尋をねると、親切な店員さんが代替品でのネットワーク図を考えてくれるも、お客さんの対応で度々中断され、店を出るまでに約1時間が経過。

「パパ、時間掛かり過ぎ!」

息子の怒りをジュースで紛らわせつつ、御徒町駅、上野駅、鴬谷駅、日暮里駅、西日暮里駅、田端駅、駒込駅、巣鴨駅、大塚駅、池袋駅、高田馬場駅、新大久保駅を回り16時20分に人で溢れた新宿駅に到着。

都庁の職員用食堂で夕食を食べ、展望室から夜景を観るつもりだったが、セレナを停めてきた駐車場が夜間閉鎖されると気付きスマホで調べると「18時30分閉鎖」と書いてある。

「あと2時間ちょっとで車に戻らなきゃならないから都庁はまた今度にしよう!」

代々木駅、原宿駅周辺も人で溢れており、渋谷駅に到着したのは17時10分。山手線1周の感動はそこそこにスクランブル交差点を渡り、多摩川の駐車場を目指す。

土曜の夕暮れのR246は人も車も大渋滞。山手通りとの交差点は横断歩道が無い立体交差となっているため、隣の交差点まで迂回。しかしその交差点にも横断歩道が無くさらに迂回をするうちに山手通りを外れてしまい大幅にタイムロス。駐車場閉鎖まで50分を切ってしまい車道走行解禁。

駐車違反車の追い越しに注意を払いつつ車道走行をするうちに日が沈みライト点灯。発電方式ライトの息子はペダルが重くなると嫌がるが無灯火では危険なため強制点灯!テールライトが無い息子に先頭を走らせつつ、

『この先歩道!』『次の信号から車道!』

と道路事情を見ながら指示を出しつつ走行。環7を越えると、駐車場閉鎖まであと30分。なかなか変わらぬ歩行者用信号がもどかしい。

いよいよ時間に余裕が無くなってきた所に横断歩道が無い環八の交差点。迂回路を廻れば多分時間に間に合わないだろう。

「しょうがない。歩道橋上ろう!」

息子は自転車を持ち上げられぬため、自転車2台のフレームを両手に掴んで火事場のくそ力で持ち上げ、一気に階段を駆け上り、そして駆け下りる。
これならギリギリ間に合うだろうと246を反れ、玉川通りに入ると、まさかの人だかり。二子多摩川駅前で喧嘩があったらしく、警察の指示に従いながら走る。雑踏を器用にすり抜ける息子を見失うも多摩川にかかる橋の信号で合流。清々しい夜風を浴びつつ川を渡り18時18分セレナだけがポツンと残された閉鎖間際の駐車場に到着。
管理人さんの車のライトを浴びながら自転車を積み込み、ギリギリ時間内に駐車場を後にした。

最後のボイスメモを録音しつつ車を走らせ、川崎市青葉区の湯けむりの里で、互いの健闘を讃え合いつつ汗を流し、麺2倍の長崎チャンポンをペロリと完食。帰りの車内で息子が山手線全29駅の完全暗唱に初めて成功。ハラハラドキドキ、実りの多いサイクリングであった。

【走行データ】
走行距離:64km、 走行時間:5時間25分

 


6. 厚木・海老名サイクリング(2014年11月2日)

 週末の天気が良さそうなのでサイクリングに適したイベントを探していると、東京農大厚木キャンバスで「収穫祭」が行われるらしい。青春時代を過ごした厚木、幼少期を過ごした海老名の個人的史蹟巡りとこの収穫祭を兼ねれば1日楽しめそうだと息子を誘い、セレナに自転車2台を積んで自宅を出発!

七沢温泉近くの駐車場に車を停め、自転車を漕ぐ息子の姿に少年時代の自分を重ね合わせながら小学校4年〜結婚前まで住んでいた家や遊んだ公園を散策。走りはじめに感じた違和感はすぐに解消、1時間もするとすっかり馴染み、ずっとココに住み続けているような気分になってくる。

3年間通った毛利台小学校で 担任だった先生の消息を尋ねるつもりが正門に鍵が掛けられてて校舎内どころか敷地内にも入れない。
『昔は勝手に入って遊べたのに、、、。』時代の変化を淋しく感じつつ、坂の多い町並みを後にした。

小学校の仲間と探検した防空壕、中学校の仲間と夜中に理科の解剖用のカエルを採った田んぼを横目に次の目的地である海老名市目指す。
息子が恩曽川沿いの無人野菜販売所に興味を示し、キュウリを食べたいと言うのでコンビニで買ったマヨネーズを付けて食べる。キュウリ自体に甘味があることや、キュウリでお腹が膨れることをこの年になり初めて発見。

中学同窓生の焼き鳥屋「ぽんた」は定休日のようで再会を果たせずに通過。すぐ近くのゴッチャンのマンションの下から電話を掛けると、昨晩インドから帰って来たばかりだとお菓子とバナナの差し入れ。ゴッチャンのいつもながらの優しい心遣いで体力回復。

相模川に掛かる相模大橋を渡り小3までを過ごした団地内を散策。未だに表札に見覚えのある名前があるのに驚きつつ子供の頃遊んだアスレチック遊具で息子とガチンコ縦断勝負。何とか僅差で勝利するも息が切れてしまい、悔しがる息子の再戦要請には応えられず。

当時3年間通った通学路を辿り中新田小学校を目指すも、子供の頃との距離感の違いや、用水路が地中に埋まる等かつての面影が無く道を間違えてしまう。止む無くスマホのGPSに頼りつつ何とか小学校に到着。30年ぶりに正門をくぐると、見憶えのある景色から芋ずる式に記憶が蘇り夢心地。

高校時代ママチャリで走った通学路を使い再び厚木に戻り、神奈川端麗系ラーメンの雄「麺や食堂」で昼食。綺麗に揃えられた麺は美しく、添えられた味付き卵は絶妙なトロトロ具合、魚介系鶏がらスープは手が込んでおり、鳥と豚の2種類のチャーシューも食べ応えがあるが素直に美味いと思えない。自分が家系好き(端麗系は好きではない)と再確認。

最近では珍しいお菓子問屋の千石屋、取り壊し間際の旧青少年開館に寄りつつ東京農大の収穫祭へ。動物園ではお目にかかれない牛や豚やヤギを見るも息子は臭いと言って近付きたがらない。美味いものが食えそうだと期待していた模擬店も値段が高くて期待はずれ。ネギやジャガイモ等の農産物は安いが荷物になるため買わずに会場を後にした。

セレナに戻り、

『これから行く温泉はそこら辺のスーパー銭湯や健康ランドとはひと味違う昔ながらの本物の温泉だからね!』

と息子をその気にさせつつ七沢温泉の七沢荘へ。「この温泉スゴイ!肌がツルツルになる!」と驚きの声を上げる息子と露天風呂で汗を流す。温泉から上がり足湯に足を浸しつつ、たそがれの中30分程休憩。疲労感が心地良い、まったりした至福の時間。

夕食は車で5分の「WAIWAIアジアのごはんやさん」でベトナム料理のティットヘイコーを食べる。異国情緒漂う煮卵と角煮がごはんに乗っているメインディッシュは美味いが、スープには独特のくさみがあり飲めず。
腹一杯で車に戻ると息子は家まで爆睡。色々な感情が湧き上る印象的なサイクリングであった。

【走行データ】
走行距離:28.5km  走行時間:2時間42分

 


7. 横浜観光サイクリング(2014年11月24日)

 寒くなる前にもう1度サイクリングに行きたいとコースを考えるうちに、同郷から多摩川いかだレースに出場して2位という輝かしい成績を残した鶴見川育成会の方が「真光寺川(自宅の近くを流れるどぶ川)も横浜まで流れている鶴見川の支流の1本です。」と言っていたのを思い出し、川伝いに自転車で横浜を目指してみることにした。

早朝5時50分に自宅を出発。ライトで暗闇を切り裂きながら真光寺川沿いのサイクリングロードを走っていると鶴川駅の先で真光寺川は鶴見川に合流していた。

「真光寺川と鶴見川が戦って、鶴見川が勝ったからこの先は鶴見川に名前が変わるんだね。」

という息子の言葉に、川と川がどのような戦いをするのか空想しながら鶴見川沿いを走っていると、暗闇に光るマクドナルドの看板。早朝のマクドナルドを見てみたいと言うので誰もいない店内で朝マック。

まるで地方の田舎町にでも来てしまったかのようなのどかな景色に癒されつつR246、東名高速、第3京浜を越える。この鶴見川サイクリングロードは、交差するほぼ全ての道の下を潜って通過できるためとても快適。このままサイクリングロードで海まで出る手もあるが、この先は川が蛇行し遠回りとなるので鴨居駅を超えた辺りから一般道に出る。
デイリーヤマザキで焼き立てのカレーパンとメロンパンを買い、ワールドカップ決勝が行われた日産スタジアムを観ながらしばし休憩。

日産スタジアムの先には新横浜駅があり、自転車と一緒にエレベーターでプロムナードに上り新幹線を見学。

県道12号を走り東神奈川駅を超えるとほんのりと海の香り。首都高横羽線沿いを西に折れると、紅葉が目に留まり、幸々谷公園で小休止。ベンチでブラックサンダーをかじっていると、「ちょっと行ってくる!」と息子はアスレチック遊具で大はしゃぎ。ここまで下り坂ばかりだったので疲れはほとんど無いようだ。

みなとみらい地区に入るも、まだ朝早いせいか人も車もほとんどいない予想外の展開。横浜らしい景色を眺めながら太い歩道や公園をのんびり走っていると、近くで結婚式が行われているようで鐘の音が響いたかと思うと一斉に鳩と風船が飛び立った。風船が空の彼方に消えるのを最後まで見届け、馬車道方面に進路を取る。

「カップヌードルミュージアムに入ってみたい!」「赤レンガ倉庫に入ってみたい!」「ランドマークタワーに行ってみたい!」「あの大きな観覧車に乗ってみたい!」

息子は次から次へと興味を示すが、『黄葉がピークの時期だからいちょう並木を観よう!』と、賑わいを見せる日本大通りや山下公園通りを走り、秋の横浜を満喫。

山下公園の駐輪場に自転車を停め、息子がもっとも楽しみにしていた中華街へ。
善隣門を入ると「世界チャンピオンの肉まん」と書かれた看板が目に留まり、安さに釣られて90円の小籠包を買うも肉汁感は皆無で味は値段相当。
気を取り直して横浜博覧館に入りベビースターラーメンの製造工程を見学して作り立てを食べる。確かに市販品より美味いが所詮はベビースターラーメン。
関羽を祀った関帝廟(かんていびょう)、媽祖を祀った媽祖廟(まそびょう)を周りつつ、紅茶タピオカ、ごま団子、杏仁ソフトクリームを食べ歩く。不味くは無いが格別美味くも無く、小学生のおこずかい程度では本当の中華は味わえないようだ。

港の見える丘公園、外人墓地を周るつもりだったが、息子が16時半からスイミングスクールの予定があるそうで、これにて横浜市街観光終了。

復路は横浜駅をかすめつつ県道13号の急坂を三ツ沢公園前まで上り、小机前の先から鶴見川サイクリングロードに入る。往路では走らなかった西岸を走ると、赤や黄色に色付いた木々がとても綺麗。

西側(町田方面)から恩田川流れ込んでいるため、東岸に移ると突然前輪から空気の漏れる音。前タイヤ側面の傷から空気が漏れているので、サイクリング中初のチューブ交換。
息子が手伝ってくれたので10分程度で予備チューブへの交換は終わるも、携帯用小型空気入れでは空気圧が上げられず、ペダルが重くなった印象。

小腹が空いたので、朝も寄ったマクドナルドで三角チョコパイを買い、川崎方面から流れ込む麻生川との合流地点の広場で最後の休憩。息子が「真光寺川の源流を調べてみよう」と言うので真光寺川の起点を探しつつ帰宅、お風呂に直行。

『疲れてるだろうからスイミング別の日に振り替えてもいいよ!』と話すも、「今日は進級試験だから休めない。」と風呂から上がると息子はすぐにスイミングスクールへ(自分は疲れてふかふか布団で爆睡)。息子の体力が付いたと感じるサイクリングであった。

【走行データ】
走行距離:65.5km  走行時間:5時間32分

 


8. 中央線沿いサイクリング(2015年2月7日)

 息子に好評だった山手線1周サイクリングに続き、今度は新宿〜東京駅までを中央線伝いに走ってみようとセレナに自転車を積み自宅を出発。都心方面に30分程車をとばし、狛江のジョー邸近くの無料駐車場で自転車を下ろす。冷たい風に震えつつも「走ればきっと暖かくなる!」と9時半駐車場を出発。千歳烏山でジャンボメンチカツを食べたり、幡ヶ谷でネギだくたこ焼きを食べたりしながら、90分程でスタートの新宿駅に到着。

駅前の人ごみの中を走っていると周りの人が振り返る程の大きな音を立てて前輪がパンク。横浜サイクリングでできたタイヤの傷を放置していたのを後悔しても時既に遅し。
予備チューブを持ってはいるものの、痛んだタイヤも一緒に交換しないとまたパンクするだろうと500m先のY’sRoad新宿カスタム館まで自転車を引き摺る。購入したタイヤとチューブを自分で交換するか迷うが、プロの技を間近で見れるチャンスだと工賃1200円を支払い交換作業を見学。大きなタイムロスとなったが、タイヤレバーを使わないタイヤの着脱テクニックやパンク位置を割り出す裏技を教えてもらえる予想外の収穫。息子は「パパが家でパンクの修理して来ないから〜」と、しきりに時間を気して悲しそうなので、『お詫びに自転車用ドリンクボトル買ってあげるから店内で好きなの見付けてきな!』と声を掛けると笑顔が戻る。

12時を過ぎたのにまだ新宿をうろついている状況に、屋台で買った中東料理のケバブを食べながら今後のスケジュールを再検討。
山手線ルートで訪れた「代々木駅」「神田駅」「東京駅」を諦めれば遅れを挽回できるだろうと新宿御苑沿いを走り東京体育館正面の「千駄ヶ谷駅」へ。その後はひたすら中央線沿いを辿り、解体工事の始まった国立競技場先の「信濃町駅」、迎賓館近くの「四谷駅」、航空自衛隊前の「市ヶ谷駅」、外堀通りと首都高が交わる「飯田橋駅」、東京ドーム傍の「水道橋駅」、東京医科歯科大学正面の「御茶ノ水駅」を2時間半程かけて観光しながら走行。

復路は、勉強嫌いの息子の「やる気スイッチ」を押すきっかけになればと中央線沿いを反れ、東京大学本郷キャンバスを訪問。春日門から敷地内に入ろうとすると「入っちゃいけないんじゃないの?」と躊躇する息子。『パパここの卒業生だから大丈夫!』と冗談を言うと「パパ違うでしょ!」と尚更心配顔に。
大学紛争で有名な安田講堂などがが散らばる広いキャンバス内を自転車でのんびり散策。

東大を後にして今度は母校の卒展を訪問。卒業後20年が過ぎており知人との再会は無いだろうと諦めていたが、受付でA先生(現在は教授)が名前で呼び掛けてくれ驚きと感動!情報交換や昔話に花が咲く。名残惜しくも陽が傾いてきたので、駈け足で展示を見学し会場を後にする。

新宿駅前のヤマモト珈琲店に到着する頃にはすっかり日が暮れたうえ、雨まで降り出すという予想外の事態に。
雨宿りを兼ねて都庁展望室に上ると近くにある無数の灯りのおかげで期待を遥かに超える美しい夜景。息子は夜景よりお土産選びに夢中になり、ママとお姉ちゃんにとイルカとペンギンのキーホルダーを持ってくる。『えっ、お金はパパが払うの(驚)!』

天気予報では明日まで雨が止まないらしく、自転車を置いて小田急線で帰ろうかと息子に相談すると、「帰りに車で温泉に寄ってくれるなら自転車で頑張る!」と言うので、雨の甲州街道を自転車で走る。小降りのうちは首都高が屋根代わりとなってくれるが次第に本降になり、寒さに耐え切れず環7との交差点にあるすき家に避難。暖房の効いた店内で服を乾かしながら食べる熱々の牛すき鍋は最高に美味く、冷えた体が温まるにつれ再びハートに火が灯る。

駐車場まであと十数キロ。下手に休んで体を冷やすより一気に走り切るのが良さそうだと覚悟を決めて本降りの雨の中駐車場を目指す。環八を超えると意外にも雨は止みひと安心。少し寒いが雨上がりの澄んだ空気が心地良い。
仙川駅で甲州街道を反れ、21時20分無事駐車場に帰還。差し入れを持ってきてくれたジョーどうもありがとう。

湯けむりの里で冷えた体を解凍。風呂から上がり、10分のつもりで座敷に寝転ぶとそのまま爆睡、12時過ぎに目を覚まし慌てて帰宅。寒さに震える印象深いサイクリングとなった。

【走行データ】
走行距離:56km  走行時間:5時間32分

 


9. Jリーグ観戦サイクリング(2015年3月14日))

 味の素スタジアムでのJリーグチケットが手に入ったので、サッカー観戦ついでに府中・調布近辺を観光しようと9時過ぎに自転車2台で自宅を出発。

稲城市向陽台の住宅地を抜けると多摩川に掛かる是政橋が見え、40分程であっけなくサントリーの武蔵野ビール工場に到着。

改装中のため残念ながら工場見学はできないそうだが、ファクトリーショップは営業しているそうで敷地内に入る。

荒井由実の名曲「中央フリーウェイ」で『♪右に見える競馬場、左はビール工場競馬♪』と歌われているのはこの工場だそうで、ユーミンのサイン色紙の前で記念撮影。

「パパこの歌知ってるの?」というそうちゃんの問いかけに、『中央フリーウェイ〜♪』と歌って応えると、「絶対知らないな(ただタイトル言っているだけだもん)。」と返されてしまう。ホントに知ってるって!(笑)

ビールに使用している天然水を試飲させてくれるなど、説明のお姉さんの親切な対応にサントリーのイメージアップ。ビールはもうプレミアムモルツしか買いません(笑)。

お土産にビールうどんを買って工場を後にし、隣の大東京綜合卸売センターでサッカー観戦用のお菓子を購入。曲のタイトル「中央フリーウェイ(中央高速)」をくぐると、これまた歌詞に出てくる東京競馬場に到着。

競馬場は人だらけの印象しかなかったが、今日はレースが無いらしく人はまばら。
JRAのイメージキャラクター「ターフィー」の巨大トランポリンを目指し、東京ドーム17個分(芝コース直線525m、周長2km以上)もあるという馬場を地下トンネルで抜けトラック内に入る。ミニ新幹線に乗ったり、競馬中毒風のオジサン達と肩を並べて立ち食いそばを食べたりしながら場内を散策。
開放的で気持ち良かったが、走るサラブレッドを見せてやれなかったのが残念であった。

サッカーまではまだ時間があるので、新撰組 近藤勇の墓のある「龍源寺」に寄りつつ国立天文台へ。

日本最大口径を誇る65cm屈折望遠鏡等、天文学の発展に貢献してきたであろう観測道具や歴史的建造物が散らばる見学コースを星の話をしながら歩く。緑が多く人通りのない貸し切りのコースにリフレッシュ。

天文台を後に自転車をこぎ出すと調布飛行場から飛行機が飛び立つのが見える。
中央フリーウェイの歌詞に「調布基地」として登場するこの飛行場近くには、昭和14年の飛行場施工時に作られた門柱が残されており、戦時中特別攻撃隊の訓練施設として使われた悲しい歴史が記されている。皇居を守るため国内唯一の水冷戦闘機「飛燕」を配備するも、B29に体当たりするのが精一杯だったというネットで得た知識を披露するもそうちゃんはあまり乗ってこない。

『あれ?ゼロ戦とか飛行機大好きじゃなかったっけ?』

と、聞くと、「昔は好きだったけど、今はもう興味ない」という返事。子供の興味ってコロコロ変わるんだな。

味の素スタジアムで「FC東京vs横浜Fマリノス」の試合が始まり観戦。売店の店員さんが一番ユニホームが売れていると言っていたFW武藤選手を応援するも得点シーンを見れずに0対0で試合終了。いまひとつ盛り上がりに欠ける試合であった。

人並みをかき分けつつスタジアムを離れ多摩川原橋を渡る。鶴川街道と三沢川沿いのサイクリングロードを走るとあっという間に自宅近所の見慣れた風景。
意外にも今日の出費は食費のみと軍資金が余ったのでK’sデンキで前から欲しかったbluetooth接続の防水スピーカーを購入して帰宅。

記念すべきお風呂での1曲目は、サイクリングを振り返りながら聴く「中央フリーウェイ/荒井由実」。
お金や時間をかけてわざわざ遠くまで行かなくても探せば近所に楽しめる場所って色々あるもんだな。

【走行データ】
走行距離:46.3km  走行時間:3時間5分


10. 花見サイクリング1 さくら湯編(2015年3月28日)

 ちらほらと桜が咲きはじめた3月最後の週末、ネットで開花情報をチェックしていると、今晩から1週間、近所の銭湯でさくら湯なるイベントが行われるという記事に目が留まる。
温泉好きの息子に声を掛けると、

「銭湯1度行ってみたかった!せっかくだから、さくらめぐり公式ガイドブック貰ってきて、オリジナルタオルゲットしようよ!」

と告知WEBページに目を輝かせているので、急いで昼食を済ませ、花見&さくら湯巡りサイクリングに出発!

前回の競馬場サイクリングで見損ねた馬を見ようと近所の乗馬クラブに寄りつつ、桜で有名な岩子山の「千手院」、鎌倉街道沿いの「薬師池公園」、町田警察所裏の「町田中央公園」を順番に周る。

「桜を見るにはまだ早かったみたいだねぇ。」

花見客は多いものの肝心なさくらは2〜5部咲きでまだまだこれからといった感じ。

小田急線を超え、町田さくらまつりのメイン会場である「芹ヶ谷公園」まで足を伸ばすと、町田のご当地アイドル「ミラクルマーチ」のライブが丁度はじまり、背中に「町田市民」と書かれた団体が男クラの乗りで盛り上がっている。
ミラクルマーチの4人が「オレンジ色のバスが走る♪」と歌うと、町田市民が声を合わせて「神奈中!」と何とも親近感を覚える雄叫び(笑)。

「もしかしてあの団体の中に地下アイドル通のT君いるんじゃないの?」

とT君の背の高い後ろ姿を探しつつ公園内を散策。やはりこの公園のさくらも満開には程遠いと会場を後にした。

ぽっぽ町田内ツーリストギャラリーで「2015町田さくらめぐり公式ガイドブック」を入手し、人通りが多くて自転車走行には向かない町田中心部を離れる。

日本一旨いと信じて疑わないカレーパンが食べられる山崎団地の「パンパティー」に寄り、焼き立てのカレーパンと無料珈琲を手にテラス席での至福のひととき。

今日の最終目的地「大蔵湯」の近くに「子どもセンターただON」という市の施設があり「ドーナツ作り教室」が行われているので寄ってみる。受付で料金の50円を払おうとすると、「あっ、30円でいいです。値下げしたんですよ。」とフレンドリーな職員さん。いくらなんでも安過ぎるんじゃないの?

まずはホットケーキミックスの入った袋に牛乳を注ぎ、袋の上からこねて生地を作成。次にその生地で好きな形のドーナッツを作り、職員さんに油で揚げてもらって完成。

「お父さんのドーナツ、今日の参加者の中で一番綺麗!カメラ持って来るので写真撮らせてもらってもいいですか!」

息子が作ったチェロスをイメージした細長いドーナツは油の中で無惨に変形する一方、僕のドーナツは完璧な出来映え(笑)。
「こういうのやると才能が出ちゃうんだよね。隠そうとしても隠し切れないっていうの?」と笑いを取りつつ、笑顔で会場を後にした。

「早く行かないとオリジナルタオルなくなっちゃう!」

息を切らせて自転車を飛ばし、開店30分後の銭湯「大蔵湯」に到着。番台の優しそうな婆さんに例の公式ガイドブックを見せると、常設棚から通常150円で売られている店名の書かれたタオルをくれる。

「これ、この店のタオルじゃん。さくらまつりのオリジナルタオルがもらえると思ってたのに!」

気を取り直して男湯の暖簾をくぐると、脱衣室の片隅で全身に入れ墨を入れた怖そうな爺さんがシャドーボクシングをしているではないか。ドリフの銭湯コントありがちなベタた展開に驚きつつ「何もしゃべるな!」と息子に視線ビームを送る。息子は状況を理解してくれたようで、何くわぬ顔で2人で体を洗い、いざ水面に桜の花びらの浮かんでいるだろう湯船へ。

「あれれ?さくらは?」

とりあえずはお湯に浸かろうとするが、おそらく45℃はあるであろう湯温に手も足も出ずに2重の失望。

湯船につかる爺さんA・B・Cの睨むかのような視線に水で埋めることもできず、「ぬる湯」と書かれた小さな湯船に移動。こちらも熱くて入れずにいると「そっちの湯船は水で埋めてもらって結講だよ。」と爺さんCが声を掛けてくれ、ようやく湯船の中へ。

「もしかしてさくら湯ってこれのことじゃない?」

と息子が蛇口に縛り付けてある布袋を指差す。袋の中にはおそらく毎年使っているであろう香の無い黒っぽい草のような物体。

「うん、、、。きっと、これ、だね、、、。」

 

湯冷めをしないよう充分体を乾かしてから銭湯を出ると、

「これならうちのお風呂の方がずっといい。」

と言う息子。まあ、確かに快適ではなかったが、失われつつある日本文化を体験できたのは良かった(実は実費で入浴している人は少ない等、現在の生の銭湯事情を体感できたのは貴重な体験だった)。

この銭湯から家までは約10キロ。少し遠回りするだけで、野津田公園正面ゲートに並ぶ桜並木が見れると、公園裏側から山を上るも正面ゲートに出れずに別の道で帰宅した。

【走行データ】
(走行距離27.9km 走行時間2時間31分)

 


11. 花見サイクリング2(恩田川編)(2015年4月5日)

 さくら湯サイクリングの翌週末「2015町田さくらめぐり公式ガイドブック」を見返してみると、近所にはまだまだ多くのお花見スポットがあるようだ。来週末まで桜は持ちそうもないので、習い事から帰宅した息子を拉致り、15時過ぎからお花見リベンジサイクリングに出発!

 話題の喫茶店や100円ショップに寄りつつ、小田急線鶴川駅〜玉川学園駅間の歩行者のみが通れる踏み切りを渡り、玉川学園敷地内を貫通するこの一般道の小径を使って玉川学園駅を目指す。道端の桜は綺麗だが勾配がキツく、フロントスプロケット1枚の息子はかなり苦しそう。
正門に近付くにつれ、これから新歓コンパといった雰囲気の学生が増え、なんだかノスタルジックな感情を呼び起こされつつ玉川学園駅へと続く桜並木へ。

玉川学園駅前商店街のはなびら市でのイベント「町田ゼルビアサッカー教室」や「チョークアート教室」には間に合わず、南大谷天神社を参拝して恩田川サイクリングロードへ。

川沿いの400本の桜はまさに満開。ピンクに染まる路面、水面には花筏、風が吹くと視界一面に大量の花吹雪。
「♪今日の 空の光を、今日の桜の香りを苦しいときはいつでもふりかえれる♪」と昔好きだった歌の印象的なフレーズを口ずさむと、口の中に花びらが飛び込んでくる。

弁天橋公園でのさくらまつりは終わってしまっており、公園に隣接する町田市立総合体育館内に入ってみるも、こちらも祭りの後といった雰囲気。バスケットボールプロリーグの試合が行われている体育館を後にすると、すっかり日が暮れており、夜桜を見ながらTBS緑山スタジオ裏の急坂を上る。1年前には上り切れなかった坂を上り切る息子の成長を感じながら鶴川駅を超え、長崎チャンポンで夕飯。
所々に咲く満開のさくらを眺めつつ真光寺川サイクリングロードで帰宅。出発時間が遅かった割りに楽しめるサイクリングであった。

【走行データ】
(走行距離16.2km 走行時間1時間40分)

 


 

12. 親子富士山1周サイクリング(2015年4月12日)

 息子と一緒に自転車で出掛けるようになりもうすぐ1年になる。そろそろ1年越しの目標である「親子富士山1周サイクリング」が実現できそうだと、恩田川花見サイクリングに行った翌週末に予定を入れる。
雨模様の天気に土曜早朝の出発はあきらめるも、翌朝には雨は上がるらしく21時にセレナに自転車2台を積んで自宅を出発。東名高速での事故渋滞でもたつき御殿場駅市営駐車場に到着したのは深夜1時。空腹では寝付けないと駐車場正面のセブンイレブンのカップラーメンで腹を膨らませ、自転車を下ろしてフルフラットにしたシートで仮眠。

午前3時、息子が起きられる最高に早い時間だとセットした目覚まし時計のアラームで目を覚ます。眠い目を擦りながら準備を済ませて3時30分駐車場前のセブンイレブンを出発。電車が走る前の静かな御殿場駅で記念撮影をして、1年前にテル、ゴッチャンと走った同じルートで富士山を反時計回りに走り始める。市街地を抜けR246を渡ると人も車もまばらで、点滅する信号の光が雨上がりの路面や朝靄に乱反射して何とも幻想的。

箱根裏街道の緩やかな坂を上りはじめると路肩に赤色灯を点けたパトカーを発見。時間が時間だけに職質を受けるかと思ったが何事もなく横を通過。きっと息子のヘルメットに点滅する赤ランプを取り付ける等の安全対策が好印象を与えたのだろう。

『左手に富士山があるはずなんだけど見えないねぇ。』

この先県境の籠坂峠を超えるまで約10キロ延々と上り坂が続く。ギアを落として先を急ごうとする息子に『この坂は一気に登り切れる長さじゃないから、足に疲労を貯めないように軽いギアでクルクル回しながらゆっくり走った方がいい。』とアドバイス。初の100キロ超えに挑戦するだけに素直に聞き入れてくれ、ペースを落として雑談をしながらのんびり坂を上る。

4時50分自衛隊富士駐屯地正門を通過。暗闇の中にぼんやりと富士山の輪郭が浮かび上がったかと思うと、数分のうちに冠雪した山の全貌が姿を現す。富士山をバックに都心では散ってしまったサクラが満開の花を咲かせる様子は、まさに日本の春といった感じ。


『この先のセブンイレブンで休憩しよう。』

去年チェーンが切れた時に利用した籠坂峠に最も近いコンビニで朝飯にするつもりが、店はシャッターが閉ざされ食料の調達に失敗。しょうがなく非常食として持って来た羊羹で空腹をしのぐ。

「ここからの1時間が今日の勝負どころだから気合入れていこう!」

 

籠坂峠はロードレーサーで上るには恐れるような勾配ではないが、フロントスプロケット1枚、6段変速のなんちゃってマウンテンバイクにとってはキツいようで、息子は序盤からペダルに体重を乗せたダンシングを開始。この程度の勾配でダンシングが出てくるようでは上り切れはしないだろうと、2人で坂を歩くのを覚悟するも、勢いを保ったまま数キロを上り続ける。

『なかなかやるじゃん!』

理論より直感、努力より感性を好む小学生には、フォームやケイデンス、乳酸の蓄積などを説明して走り方を強制するより好きに走らせた方が良さそうだ。

「後どれくらい?」と何度も尋ねてくる息子に、『あの上に見えるのが山頂じゃない?』『山梨県に入ったから多分もうすぐでしょ!』と応えるうちに籠坂峠の最高標高地点を通過。

『地面濡れてるから下り坂はスピードの出し過ぎに注意して!』

息子の前に出て充分スピードを落として坂を下り、6時17分厚い雲が立ち込めた山中湖に到着。残念ながら富士山は雲の中。
予定より1時間も早く峠を超えられたので、休憩室付きセブンイレブンでサイクリングの定番メニュー、唐揚げ棒、おにぎり、ブリトーを頬張りながら長めの休憩。

朝の爽やかな空気を全身に浴びながら湖畔沿いに続くR138をのんびり走行。「富士山レーダードーム館」はまだ開館しておらず隣の「道の駅 富士吉田」で休憩。地図を広げて全体の行程を確認する。

『ちょっとペース落とし過ぎたみたい。今日はまだ90キロ以上走らなくちゃならないから少しペース上げていい?』

「パパが遅くてスピード合わせるの苦痛だったんだよ!」

最高の返事に歩道メインから車道メインに切り替えペースアップ。7時40分富士急ハイランドの横を通過。

富士山ビューラインと呼ばれるR139に入るとしばらく緩い上り坂が続く。ペースダウンを覚悟していたが、追い風を受けての車道走行はそこそこのペースが維持でき、籠坂峠での1時間の貯金を残したまま8時26分「道の駅 なるさわ」に到着。

道の駅内の店舗や富士山美術館はまだ開いておらず、息子が楽しみにしていた「不尽の名水」を飲むだけで先を急ごうとするも、(不尽と名付けられている割に)9時にならないと名水は出ないらしく、自販機のたこやきやアイスを食べて時間をつぶす。
ようやく汲めた不尽の名水を家に持ち帰ると言う息子。荷物になるから飲みながら走れと説得するのにひと苦労(笑)。

開館したばかりの富士山美術館に入るも、息子は叫ぶ肉食恐竜の展示が恐いと入場ゲートまで逃げ帰り、親切な係員のおばさんに抜け道を案内してもらう。こんな張りぼてが恐いだなんてまだまだ子供だな。

道の駅を過ぎると、富士宮まで最短で抜けられる県道71号との分岐があり、どちらに進むかを尋ねると、

「まだ疲れてないから、湖が見える富士山ビューラインをこのまま走ろう!」

と頼もしい回答。青木々原樹海を抜け、9時45分に精進湖、10時10分に本栖湖を通過。本栖湖近くの土産物屋でお姉ちゃんへのお土産に富士山の形の缶に入ったドロップを買おうとする息子。美しい姉弟愛に胸を打たれお金を払ってやると言うと、ちゃっかり色違いの自分の分も持ってきて2つ購入。
「どこから来たの?」
と気さくに話し掛けてくれる店員さんに御殿場駅からだと応えると、「何時に出て来たの!」と驚いていた。

山梨県から再び静岡県に入り10時45分「道の駅 朝霧高原」で、こけももソフトクリームを食べる。大自然の中に雄大に佇むはずの富士山は雲に隠れてほとんど見えず(涙)。

道の駅を出てパノラマラインを走るつもりが大自然の誘惑に負け、ついつい脇の田舎道を選んでしまう。傾斜した緑の大地や地平線をバックに放牧される牛達を見ていると、まるで北海道の富良野あたりを旅している気分になってくる。松下牧場でこの感動を分ち合おうと息子に話し掛けるも、全く感動している様子は無く、「絶対この道遠回りだよ。早くパノラマラインに戻ろうよ!」と怒り出してしまい、十数キロなだらかに下り坂が続くパノラマラインに戻る。

二輪車会館を見学しようとドライブインもちやの駐車場に入ると、ホットロードに出てきそうなイカツイ単車(族車)が大集結しているではないか。これからミーティング(集会?)が始まるようで、怖そうな兄ちゃんや姉ちゃんと目を合わせぬようそのまま素通り(笑)。

ロードレーサーとなんちゃってマウンテンバイクの性能差は下り坂でも歴然で、息子との間隔が開き過ぎないようにブレーキレバーを握り続けながら走り、12時10分白糸の滝・音無の滝に到着。
下り坂で貯金が2時間に増えたので、富士宮やきそばや五平餅を食べて土産物屋めぐり。息子は体をくねらせる猫のおもちゃに興味津々。

この先の最後の難関「愛鷹山塊」を超えるまで田舎道が続くため、白糸の滝近くのファミリーマートで最後の戦いに備えて食料を調達。

『元気が出そうな物、何でも好きなだけこのカゴに入れて!』

チョコレート、蒟蒻ゼリー、イカのくんせい、菓子パン、速攻元気ゼリーを買って準備万端。空腹で挑んだ籠坂峠と同じ失敗は繰り返さない。

白糸スピードランドでのライスポカップ(2スト50ccと4スト100ccオートバイ混走レース)のテールトゥノーズのデットヒート観戦を挟みつつ県道72号の連続するアップダウンを走るうちに息子のスピードが上がらなくなる。疲れが出始めたようなので、本格的な上りがはじまる前のR469とぶつかる交差点(ゴッチャンが坂を上り切ったと勘違いした場所)で長めの休憩。

『自転車乗りは、100キロ走れる本物のライダーと走れない偽物のライダーの2種類に分けられる。あと15キロを走破し、キミもこちら側においでよ(笑)』

100キロ地点で記念写真を撮ることを約束し、標高差400mの最後の難関に漕ぎ出して行く。

朝の勢いがなくなった疲れたダンシングの背中に声援を送りつつ、少しづつ距離を伸ばし90キロを突破。

「江ノ島サイクリングで走った89キロを超えたから、この先は未体験ゾーンだね!』

斜度が増すにつれ、体重を乗せるだけではペダルを踏み切れなくなってきたようで、ペダルの上で坂との力勝負を繰り返す。このスローモーションのようなダンシングは脚力を相当消耗するようで1キロも走れずに路肩に倒れ込んでは何度も休憩。上り坂があと何キロ続くかを何度も聞いてくる息子にまだ10キロ以上あるとはとても告げられず、

『あと3キロ位じゃないかなぁ、、、』

『あと2キロ位じゃないかなぁ、、、』

『いい所まで来てる!』

『ゴメン、多分あと3キロ位だ、、、』

『距離は良く分からないけど、きっともうすぐ!』

終わらぬ坂に苛立ちを隠せなくなった息子が突然立ち止まったかと思うと目の前には「富士サファリパーク6キロ」の看板。

「さっき、富士サファリパークまで上り坂が続くって言ったよね。まだまだ坂続くんじゃん。パパの嘘つき!」

嘘つきパパを置き去りにしようともペダルが回らず、力尽きては無言で一緒にお菓子を食べては走り出す。これを何度も繰り返し、ようやく走行距離100キロに到達!約束通り写真を撮ろうと声を掛けるも、

「写真なんていい!僕は早くこの坂終わらせたいんだ!」

と、これまで見たことのない険しい表情で100キロ地点をそのまま素通り。
手を貸してやりたいが、ここはもう本人に頑張ってもらうしかない。相当疲れているようだが、走り切ろうとする気力を失っていないのだけがせめてもの救い。後ろで声援を送りつつ距離を縮め、16時40分ようやく坂の頂点に到達。

『これでホントに終わり!富士山見ながら休憩!』

「2時半から起きているからもう眠くて○☆%△□、、、」

と息子は草原に倒れ込んだかと思うとそのまま寝てしまう。小さな体で本当に良く頑張った。

あまりのんびりしている時間はないと、30分だけ寝かして再スタート。5キロ程は急坂を下るだけなので快調に飛ばすも、東富士演習場傍まで下ると所々に上り坂が混ざり失速。たいした坂ではないのに極端にペースが落ちてなかなか追い付いて来ない。寒さにやられて膝が曲がらなくなってしまったそうで、無様な走りっぷり。

裾野市から御殿場市に入り、R469沿いの山崎精肉店の肉汁たっぷりのメンチカツを買ってやるも、「車まで戻ってから食べる!」と泣きそうな顔。
御殿場駅2キロの標識が現れるとようやく完走を確信したようで、表情が緩む。R246の信号待ちで『あと1キロ!』と声を掛けると、

「今日は何度その言葉に騙されたか、、」

と久々の笑顔。

『確かに嘘付いたのはパパが悪かったけど、あの状況であと15キロ坂が続くって言われたらやる気無くしてたでしよ。パパだって辛かったんだから!』と言うと納得してくれているようだった。
18痔30分、朝とは逆方向から御殿場駅駐車場前のセブンイレブンに無事到着。最高の笑顔でゴールイン!

感動の余韻を味わいたいところだが、明日は学校があるので急いで自転車を積んで帰路につく。しかしながら東名高速は、大井松田ICの先都心まで交通集中による渋滞。

温泉好きの息子が「温泉に入れば膝の痛みが治まるかもしれない」と言うので、足柄サービスエリア内ハイウェイ温泉に入る。

低料金(2人で1000円弱/3時間まで)なのに綺麗で快適。脱衣室の隣にリラックスルームがあり、入浴後、無料マッサージチェアーで体をほぐして隣同士のリクライニングシートに身を沈めるとそのまま2時間爆睡。

『ヤバイ、ヤバイ、このままだと朝まで寝ちゃうよ!』

温泉で温めるのは逆効果だったようで、膝がさらに痛くなって歩けないと言う息子を連れて車に戻り、渋滞が解消された東名を飛ばし11時半自宅到着。2015年でいちばん長いだろう1日は終わりを告げた。

【走行データ】
走行距離:117km  走行時間:7時間25分  平均速度:15.7km


13. 親子浜名湖1周サイクリング(2015年8月12日)NEW

 三重帰省の道中にいつも立ち寄る東名高速浜名湖サービスエリアには、利用促進のために一般道に出られる24時間解放のゲートがあるらしい。このゲートを利用すれば長距離運転の息抜きがてら浜名湖1周サイクリングができそうだと夕方息子と車に自転車を積んで嫁さんの待つ実家に向けて出発。

足柄サービスエリアで夕飯の後、ハイウエイ温泉「あしがら湯」で入浴、ドクターフィッシュ体験、足湯でのんびりした挙げ句に仮眠室で寝てしまい、浜名湖サービスエリアに到着したのは深夜1時。自転車を下ろして車内で仮眠するつもりがほとんど眠れぬうちに出発予定の4時になり、24時間営業の売店で食料を調達して出発。いつもながら寝起きで機嫌の悪い息子を先導しながら売店の裏にひっそりと設置されたゲートを抜けて一般道に出る。

高速のガード下をくぐると、騒がしい高速エリアから一転、静かで穏やかな別世界。天竜浜名湖線の単線の線路や駅舎、寂れた踏切のある本物の田舎の風景に心癒される。
線路沿いを数キロ走り、再び東名を浜名湖側にくぐると、高速を走る車のライトが湖面に反射して何とも幻想的。この感動を共有しようと息子に視線を送るも、まだ寝起きで不機嫌なまま。

浜名湖の北西に接する猪鼻湖との境界にある新瀬戸橋まで来ると、ようやく息子の機嫌が直り縁石に座って朝御飯。猪鼻湖を周回するサイクリングロードを走るか迷うも、息子が乗り気でないので次の機会にして先を急ぐ。

陽が昇るにつれて気温がみるみる上昇、涼しいうちに距離を稼ごうと、しばらく湖岸を離れた最短ルートのR301を南下。かつて関所が置かれていた新居町の歴史を感じさせる町並みを抜け、浜名湖を東西に横切る新幹線のすぐ横を並走するR1(旧道)で弁天島に渡る。
「今切」と呼ばれる湖の裂け目の先には遠州灘(太平洋)が広がっている。かつての浜名湖は淡水湖で、津波や大地震で海と繋がり、海水と淡水の混ざる汽水湖になり今に至るそうだ。

この辺りは両親の実家に程近く、子供の頃毎年夏休みに浜名湖大橋の先にある村櫛荘と呼ばれる25mプール付きの国民宿舎に親族で集まっていた。35年ぶりにこの村櫛荘のプールで泳げればと微かな記憶を頼りに探してみるが、それらしい建物が見つけられない。

「潰れちゃったのかな?」

とにかく消息だけでも確認しようと聞き込み調査をしようとするもほとんど人影がなく調査は難航。活気の無くなった町並みに国内観光地の栄枯盛衰の詫び寂びを感じる結果となった。

この先舘山寺まで湖沿いにコンビニがないので、湖岸を数キロ反れたサークルKを目指す。蛙の声が響く小径に迷い込んでしまい、県道に出ようと山林を強行突破。自転車を担いで崖を下り県道に出たときには体中蚊に刺されまくりで痒い痒い。やっと辿り着いたサークルKでジュース&アイスを買い水分補給。

湖畔のサイクリングロードに戻ると道端に無料のシャワーを発見。暑さを凌ごうと湖に入り、浜名湖を2人占めしながらしょっぱい浜名湖を体感。ハンドタオルしか持ってこなかったので、シャワーで濡れた体をまったりしながら自然乾燥していると、

「安心してください、履いてます♪」

と流行のネの再現に夢中になる息子。今日1番の笑顔。

ホテルや旅館が立ち並ぶこの辺りは浜名湖最大の観光地で、地名の由来である舘山寺で妻の全快と娘の受験合格を祈願。
上空に舘山寺ロープウェイを眺めながら動物園や遊園地、フラワーパーク遊覧船乗り場などのある町並みをのんびり走行。名物のうなぎ料理を食べようと店に入るも、準備中だと断られてしまい、繁華街を後にする。

浜名湖サービスエリアが橋の先に見えるが、高速道路に乗らねばこの橋は渡れぬため、橋の奥の細江湖を周りはじめる。
行く手には天神山が立ちはだかり、その脇をかすめる県道49号の峠道を超えねばならない。炎天下の日差しにジリジリと焼かれつつ坂を上る。

峠を超えると3〜4キロの下り坂となり、一気に坂を下る。坂を下り切った湖に面したT字路で後から付いて来るはずの息子を待つも、10分過ぎても追い付いてこない。しかも田舎で携帯が通じない。

『まずい展開、引き返して探しに行くしか無さそうだ、、、。』

坂道の途中の工事現場で手旗信号を振るおじさんから「自転車で坂を下って行った子供が再び上って行った」という情報を入手。息子はここより上にいるようだと頂上付近を探すうちに半べその息子を発見。息子は緩やかな曲がり道で、センターラインの続く県道を反れ枝道に入りはぐれてしまったらしいが、とにかく無事に会えて良かった。

息子の機嫌を直そうとセブンイレブンでアイスを買うも、店の外は灼熱地獄。ジリジリと照り付ける日差しを避け、店舗裏のエアコン室外機の隙間に入り込み小休止。とにかく暑い。

アスファルトから陽炎が立ち上る酷暑の中、細江湖を周り、正午の鐘を聞きながら浜名湖パーキングに無事帰還。

車に自転車を積み込み、すっかりリフレッシュしてパーキングを出発。伊勢湾岸道の刈谷パーキングの温泉で汗を流すつもりが息子が目を覚まさないのでそのまま高速を飛ばして実家のお風呂に直行。夏を満喫するサイクリングであった。

走行データ】
走行距離:59km  SA出発(走行開始):4時間30分  SA到着出(走行終了):12時