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■ ファミリーサイパン旅行記

『たまには車中泊とかじゃない優雅な旅行がしたい。』
そんなゆっち(妻)の言葉に背中を押され、
家族旅行の計画を練りはじめたが、、、




1. 計画スタート
 入社10年の記念に旅行券を貰って以来、(貧乏旅行ではない)家族旅行に行きたいと思いつつ先延ばしにして3年が過ぎた。 勤め先で昨年から続いている緊急業務も夏には収束する見通しなので、ここぞとばかりに家族旅行計画をスタートさせた。
「とりあえず」ということで行き先を沖縄に定め、ゆっちに計画を練ってもらうが、立案されたプランを聞いて驚いた。

『えっ、家族旅行ってこんなにお金がかかるの!』

子供が小さい(そうちゃん:幼稚園年少、なっち:小学1年生)とは言え、飛行機の席はしっかり4人分が必要、 その他にも様々な費用がかさみ、イメージしていた(夫婦旅行のような)金額との開きに愕然とした。

『果たしてこんなに金を費やしてまで家族旅行に行く価値があるのだろうか?』

子供用ベットや学習机、さらにはガタがきている通勤バイクやモトクロスバイクの買い替え等、欲しい物は数限りない。 そんな中で家族旅行に大金を注ぎ込むことは、果たしてベストな選択と言えるのだろうか?
家族旅行の価値について、よく考えてみることにした。



2. 家族旅行の価値
 子供達に「飛行機乗って旅行に行きたい?」と尋ねると、予想通り「行きたーい!!!」という応えが返ってきた。
子供が親との旅行を心から喜んでくれるのは、小さな今のうちだけだろう。
この時期に思い切って優雅な家族旅行に行き、(ちょっと大袈裟な言い方だが) 親子水入らずでの一生心に残るような特別な体験を家族4人の心に刻み込むことは、大きな価値があることだと思う。 家族旅行は学習机やバイクのように形には残らないが、家族の心の奥に長く居座り、家族の絆を強めてくれるに違いない。

しながら、大きな額が記載された見積書を目の当たりにすると、どうしても躊躇してしまう。 きれいな海で泳ぐなら、西伊豆の海にでも行けば充分ではないか?等、否定的な考えが次々と浮かび、 どうしても沖縄旅行で得られるであろう経験に大金を投じる決心がつかないのだ。




3. どうせなら理論          
 家族旅行の計画が暗礁に乗り上げ、数週間が過ぎたある晩のことである。
子供達と一緒に、英語教材「あい LOVE キスゴン!」のビデオを見ているうちに、ふと、今まで思いもしなかった考えが浮かんだ

『思い切って家族で海外に行くっていうのはどうだろう?』

海外旅行は英語学習にプラスになるのは勿論のこと、地理、歴史、科学等、様々な分野に興味を持つきっかけとなり、子供達の今後の長い人生に、必ずや良い影響を与えるだろう。
感受性が強く吸収力のある子供達に海外体験をさせ、小さいうちから視野を広げておくことは、(国内旅行とは比較にならない程の) 大きな価値がありそうだ。
確かに国内旅行よりも値は張るだろう。しかしながら、旅行を自分達へのご褒美ではなく、無限の可能性のある子供達への投資 と(都合よく)考えると、高過ぎると感じていた金額が納得のいくものに思えてきた。
一生のうちそう何度も行けない家族旅行だからこそ、攻めの姿勢で海外まで足を伸ばすのがよい気がしてきた。

『どうせなら海外に行こうよ!』

勢いでゆっちにこう言うと、旅行好きな彼女の目の色が変わった。

「そっか、海外か。分かった調べてみるよ。」

大きな期待と、『もしかして、僕は取り返しのつかないことを口走ってしまったのかも?』 という小さな不安を感じつつ海外旅行調査は開始された。



4. 行き先の検討(かつての記憶)         
 『子連れで行く海外の定番は、ハワイ、グアム、サイパンみたいだよ。』
ゆっちの言葉で、小学2年の時の同級生、松浦君(仮名)のことを思い出した。

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夏休みにサイパンに旅行に行ったという松浦君は、2学期になると事ある毎に何かとサイパンの話をした。
「サイパンの海は、、、」「サイパンのお菓子は、、、」「サイパンのお金は、、、」 そんなサイパンかぶれの松浦君の体験談を、毎日うんざりしつつも羨ましく思っていたまっち少年は、ダメモトで両親に聞いてみた。

『うちもサイパンに行こうよ。』

予想通り良い反応は得られなかった。そして、我家で海外旅行の話をすることは禁句となった。
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そんな自分の幼少期の満たされなかった思いのためか、直感的にサイパンに行きたいと思い、詳しく調べてみた。

1. 治安が良く、子供やお年よりに優しく親切な国民性。
2. 日本から飛行機で4時間と近く、時差もたった1時間。
3. ハワイ、グアムに勝るとも劣らないきれいな海。
4. ハワイ、グアムより安い旅行代金。

これらの理由により、初めての海外旅行の行き先は4人満場一致でサイパンに決定した。




5. 日程の検討(親の横暴)             
 ゆっちの立てた3泊4日のサイパン旅行のプランに目を通す。

『沖縄よりもかなり高いなぁ、、、』

プランの載ったパンフレットを隅々まで眺めるうちにある事に気が付いた。

『出発日を(週末から)2日前にずらすだけで、だいぶ安くなるじゃん。』

しかしながらこれにも問題が。
自分の会社、そうちゃんの幼稚園は何とかするにしても、今まで小学校皆勤賞のなっちに2日間も学校を休ませて旅行に行くことは、 本当に子供のことを考えていると言えるのだろうか?もしかしてこれは親の横暴ではなかろうか?

夫婦で慎重にこの点を議論した結果、 『「学校を休んで海外旅行に行く」というのは、僕達夫婦が諸事情や子供のことを本気で考えて出した 答えなので、(学校には「家族旅行のため休む」と正直に告げ) 胸を張って堂々と旅行に行こう』ということで話がまとまった。

なっちに決定した旅行の日程を告げると予想通りの反応。

「木曜日と金曜日学校休んでもいいの?先生に怒られない?」
『先生にはちゃんと言っておくから心配しないでいいよ。 それにね、学校休んで旅行に行くのは、なっちとそうちゃんに外国をしっかり観るお勉強をして欲しいからなんだよ。』
「しっかり見るお勉強?」
戦争の残骸を見たり、生の英語を聞いたりしゃべったり、色々な国の人と触れ合ったり、時差や気候のことをじっくり考えることは、学校の勉強と同じ位勉強になるから しっかりお勉強するんだよ。
「うん、分かった。」


なっちは納得したようだった。(あれ、本当の理由は、料金が安いからじゃなかったっけ?(笑))




6. 事前準備    
 せっかくの旅行だから準備も楽しまなきゃ!
旅行のひと月程前から、我家は全開バリバリの旅行モードに突入した。

準備その1 パスポート
 子供達のパスポート作成はゆっちに任せたが、小さな2人をパスポートセンターに連れて行っての申請は大変だったようだ。
なっちはちゃんと読める字の署名を書くのに、そうちゃんは3分間写真でちゃんと前を向いた証明写真を撮るのに手間取ったそうだ。
苦労の甲斐あり完成したパスポートを見て2人は大喜び。この年齢でパスポート持ってるってちょっと格好いいな。

準備その2 英語
 なっち、そうちゃんは「ビデオ教材」や「しまじろうの親子英語」で遊びながら英語の勉強。
英語の喋れる格好いい父親を演じたいまっちは「旅行用英会話の本」で勉強。
まっちの英語に期待していないゆっちは、ニンテンドーDSの「指差し英会話」で、海外での非常事態に備える。
子供達に醜態をさらし、反面教師となることだけは避けたいのだが、、、。

準備その3 肉体
 週末の夜は4人で「ビリーズブートキャンプ」を日課とし、水着に耐えられる体作りに励んだ。 (子供達にブートキャンプは意味が無いと思っていたが、これが思わぬ所で役立つことに、、、)

準備その4 スイミング
 ビーチでの貴重な時間を無駄にしないために、子供達にお風呂場でシュノーケルの使い方を練習させる。
なっちは自由にシュノーケルで呼吸ができるようになった。
そうちゃんはサイズが合わずにシュノーケルの使用は断念。ゴーグルの使い方のみマスターした。


家族4人が「海外旅行に行く!」という共通の目的に向けて強力に結びつく心地良い感じを久々に味わえた (うちの家族って普段はバラバラなんだけど、こういう何か楽しいことをやろうって時だけは 急にピタッと同じ方を向いて団結するんだよね)
準備は快調に進む。この調子で気持ちよく旅行当日を迎えらると思っていたのだが、、、          



7. 苦悩の日々  
 旅行をひと月後に控えた8月のある日、旅行を邪魔するかの如く最悪のタイミングで勤め先がリコール発表をした。これからしばらくは、出張等の緊急業務が通常業務に加わるため、土日の無い忙しい生活を送ることとなりそうだ。

『どうしよう、旅行キャンセルしようか?』

今までこの手の緊急業務が発生する度に『家庭を仕事の犠牲にし続けるのは理想ではない』という自分の信念をごまかしつつ、仕事を優先してきたが、 既に旅行会社に予約金を納め、会社への年休申請も完了し、子供達まですっかり本気モードになっている今の時点で旅行をキャンすることは、 旅行の話自体を消滅させる可能性もあり、どうしても避けたいと思った。

『サイパンは絶対行くって決めてるから行くよ!』

いつになく家族優先の信念を貫き、久々に家族思いの姿を演出(?)する、実はいちばん旅行に行きたがっているまっちであった。 (後日この判断の甘さを痛感することになるのだが、、、)



8. 更なる苦悩の日々  
 旅行前に緊急業務の役目を果たしてしまおうと、誰も行きたがらない盆休みを削る日程の北海道緊急出張を快く引き受ける。1週間の出張を終え、緊急業務の自分の役目を終えたつもりで会社に戻ると、部長にもう1度出張に行ってほしいと声を掛けられる。 嫌な予感を感じつつその詳細を尋ねると、ズバリ海外旅行と重なる日程での2週間の青森出張とのことであった。

『13〜16日はどうしても外せない用事があるのですが?』
「その用事って仕事?」


仕事を優先させろという重圧をひしひしと感じるも、ここで屈する訳にはいかない。『サイパン旅行です』なんて言ったら人格疑われそうなので『所用です』の一点張り。ダメ社員の烙印を押されつつも、なんとか17日からに出張の日程を変えてもらうことができ、最悪の事態は免れた。

しかしながら、いつ出張が前倒しされてもおかしくない厳しい状況は続く。 旅行のキャンセル料金が次第に旅行代金の全額に近づく中、緊急業務の人員確保のために同僚の背中を叩きまくる部長の足音に脅えながら仕事をする日々。

『旅行に行くのがこんなにキツイとは、、、。』

子供には、「胸を張って学校休んでいい」と言いつつ、自分は社内の誰ひとりにも事情を告げることもできず、目立たぬように 赤紙に脅える日々を送ること数週間、 なんとか発狂することなく旅行前日の業務を終えた。

『ヤッター、明日から旅行に行けるぜ!』

この溜まりに溜まったストレスの全てを旅行にぶつけ、意地でも休暇を満喫してやろうと闘志を燃やす僕の脳裏に、 昔沖縄旅行のCMで使われていた森高千里「私の夏」の替歌が流れ出した。

♪意地でも休暇を満喫してや〜る♪
♪決・め・た!サイパンの海にしよう♪
♪家族で落ち着けそうだね〜、、、♪



9. サイパン旅行1日目    (9月14日) 
 早朝自宅を出発。体調を崩し気味のそうちゃんが飛行機機内で吐いてしまうというアクシデントを乗り越え、 定刻通り15時10分にサイパン国際空港に到着。

『えっ、雨じゃん!!!』

マリアナリゾート&スパ(ホテル)に向かうタクシーの運転手に、慣れない英語で今後の天気を訪ねると、 「明日も雨。この先しばらくは晴れないと思うよ。」と、日本語での返事。
『ガックリ、、、(なんだ日本語通じるじゃん)。』今朝からのハイテンションモードが一気にローテンションに。
『ヤイ太陽、こっちは一世一代の大旅行なんだから怠けてないで顔出してくれなきゃ困るよ!』 と自分の都合を太陽にぶつけていてもしょうがないので、ホテルチェックイン後、旅行会社のデスクに直行し、細部まで練り上げた予定を根底から考え直す。
「子供をイングリッシュスクールに預けて夫婦でスキューバーダイビング」という裏のメインイベントを 泣く泣く削り、天候の影響を受けないイベントを旅行前半に固め、天候回復に賭けることにした。

3連泊するオーシャンビューの広い個室で一服の後、気持ちを切り替えサイパン唯一の歓楽街、ガラパンへ繰り出す。
ちょっとバブルチックで時代に取り残された感の免税店を物色中に、 サイパンの大人気イメージキャラクター(?)「サイパンダ」を発見。喜ぶ子供達としばし観察の後、 夕食を食べに、毎週木曜の晩に開催されているという「ガラパン ストリート マーケット」の会場に移動。

海テント サイパンダと一緒 夜店

道端にびっしりと並ぶ屋台の世界各国の料理の中から、「7皿で5ドル」という中華料理を選び、なっちとそうちゃんに 食べたい物を注文させる。 料理は近隣のホテルで作られたもののようでどれも旨かったが、そんなことよりもとにかく今後の天気が気になる。

『太陽さん、お願いだから早く出てきておくれよ!』



10. サイパン旅行2日目    (9月15日)  
 翌朝、目を覚ますとやはり雨、豪華な朝食バイキング(子供達に大好評)を食べた後、バスに乗り込み戦跡を中心にサイパンの歴史をたどるツアーに出発。
第2次世界大戦で日本兵が使った戦車や大砲の残骸が残る「ラストコマンドポスト」や、日本兵が自決した「バンザイ(ダートじゃなくて)クリフ岬」等をガイドの説明を聞きながら見学する。 ポルトガル、日本、アメリカ、(マリアナ連邦)と統治国を変えてきたサイパンの悲しい歴史を学びつつ、子供達に戦争の恐ろしさを伝えることができた。

ホテルのベット ヤシの美ジュース 戦車の残骸

午後になると雨が止んだので急遽予定を変更し、サイパン島でいちばん美しいと言われるホテルのプライベートビーチでシュノーケリング。
プールのように透明な海中は遠くまで見渡せ、熱帯魚が所狭しと泳ぐ様子は、まるで水族館の巨大水槽の中で泳いでいるようだった。
プール大好きなそうちゃんはほとんど手がかからずヘルパーで浮かびながらラッコのように海と戯れていた。
なっちは面白がって魚の餌付けをしていたが、だんだんと大きな魚に囲まれるにつれ戸惑いだした。
『魚さんは優しいから全然怖くないよ』と言いつつ指先を魚にかじられて痛がるまっちの様子を見たなっちは、 「チクタク(角のある魚になっちが名付けたあだ名)が怖い!」と言いつつも、熱心に海中の世界を観ていた。

そうちゃん、まっちシュノーケリング サンゴと魚 そうちゃん、ユッチシュノーケリング

その晩、ガラパンを散策中に、急に無口になったそうちゃんがスーパー店内で嘔吐。 熱があるので急いでホテルに戻り寝かしつける。

明日はこの旅行のメインイベント、マニャガハ島観光の予定だが、そうちゃんの熱下がってくれるだろうか?
何とも気の抜けない海外旅行2日目であった。




11. サイパン旅行3日目    (9月16日)  
 『ヤッター、天気もいいし、そうちゃんの熱も下がってる!』
急いで朝食を済ませ、朝1番の連絡船でマニャガハ島へ渡る。
まずはゆっちとなっちでパラセーリング、そして4人でシュノーケリング。 大きな期待を胸に海に飛び込むが、(昨日のサイパン島のビーチより)透明度は低く魚も少なく期待外れ。 遠浅で波が穏やかなので、4人で手を繋ぎ沖のブイまで行ってみる。
『ここまでくるとやっぱりきれい。』
次第に日差しも強くなり、南国の海を思う存分味わえるひとときであった。

昼食後、マニャガハ島1周冒険ツアーに参加。参加者がうちだけのためガイドさんを独り占めしながら楽しく動植物を観察。 (TVアニメ恐竜キングの影響で)そうちゃんがトカゲに妙に関心を示す姿が印象的だった。

パラセーリング ガジャマルの木 青い海

もうひと泳ぎしてホテルに戻ろうとするが子供達は帰りたがらない。
まあ、こんな無人島体験はそう何度もできるものではないので、気持ちをのんびりモードに切り替えゆっくり遊ぶことにする。
昔日本に住んでいた時に親切にされたからと、食べ物をもてなしてくれる中国・韓国人夫婦と会話を楽しんだり、沖まで泳いだり、 波打ち際で砂遊びをしたりしていると突然のスコール。
これをきっかけに皆が帰りはじめたので、僕らも帰り仕度をして船に乗り込むと、何と今日の最終便。 何ともトロピカルなマニャガハ島観光であった。

ホテルに戻り、アジアンスパで再充電をして、サイパン最後の夜を楽しみにガラパンの街へ。

そうちゃんが眠そうなので、とにかく夕食を食べようとハードロックカフェに入店。 メニューを選んでいると、外人のお兄さんのライブが始まった。
エリッククラプトンの「チェンジザワールド」、ロイオービソンの「プリティーウーマン」、エルトンジョンの「ユアソング」等 日本人好みの曲が続いた後、スマップの「世界で1つだけの花」の演奏が始まった。
『まさかこんな所でこんな曲が聴けるとは!』と驚いていると、サビの部分で日本人観光客丸出しの僕らのテーブルにマイクが向けられた。 ゆっちも子供達も歌えそうもないけどどうする?
お兄さんと瞳で会話すること約1秒、立ち上がって『世界でひとーつだけの……』と歌う。 恥ずかしいけど気持ち良かった。

森の熊さん ヤングマン お姉さんのキッス

その後ステージに引っぱり出され、お兄さんが「森の熊さん」を演奏。一緒に踊って歌った子供達も大満足。 さらに客全員がステージに上げられ、聞き覚えのあるメロディーが流れる。「ヤングマンだ!」。
『そうちゃん、ビリー(ビリーズブートキャンプ)みたいにお兄さんの真似すればいいんだよ。』
小さい割に一生懸命踊っていたそうちゃんは「リトルジャパニーズダンサー」と呼ばれ、お姉さんにキスを貰っていた。
サイパン旅行3日目の長い1日はこうして過ぎていった。 
ハードロックカフェ動画




12. サイパン旅行最終日    (9月17日)
 虹を見ながら朝食を食べ、ジェットスキーに乗りにハファダイビーチに向かう。 インストラクター(?)のおじさんの説明は、
「これ押す、進む。ハンドル曲げる、曲がる。OK?」
という簡単なもの。なっちと2人でマシンに跨がり、おじさんの後を追い指定アリアまで行き自由走行の開始。
マシンを傾けてもあまりバンク角がつかず、ちょうど4輪バギーに乗っているような感じだ。大きな白波を上げて海面を地面のように縦横無尽に走るのが気持ち良く、調子に乗ってスピードを上げると、小波を通過する際にマシンが海面を飛び跳ねだした。 さらにスピードを上げようとするとなっちが怖がるので少しスピードを落としつつ、波の少ない所を探しながら走行。 モトクロスのようでもあり、確かに面白いのだが、海面にはモトクロスコースのような山や谷がなく、それ程奥は深くないように感じた。(うまくなれば色々できるのだろうが、)とりあえずジェットスキーという乗り物が分かった気がする30分であった。

朝食の虹 ジェットスキー ジェットスキー4人

その後、ビーチでバーベキューをして、海やホテルに別れを告げ空港に向かう。 空港のロビーで出発までの時間を潰していると、土産物屋を徘徊していた子供達がサイパンダ人形を買って欲しいと言いに来た。
『家にぬいぐるみなんていっぱいあるでしょ!』
と、ダメ出しをしたが、サイパンダ人形を子供部屋に置いておくことが、子供達(特にまだ小さいそうちゃん)の心にサイパンの楽しかった記憶を焼き付けるのに一役買ってくれそうに思えて買ってやった。

離陸する機内でそうちゃんが寂しそうにつぶやいた。
「またサイパン来れるかなぁ?」
『そうちゃんが、いっぱいお勉強して、いいお仕事して、いっぱいお金を稼げるようになれば、いくらでも来れるようになるから、今度はそうちゃんがパパとママを連れてきてね。』
そうちゃんは分かったような顔をして、窓から小さくなるサイパン島を眺めていた。

ビーチで4人 サイパンダ 3匹のサイパンダ

蛇足: 成田到着後、大きな荷物と熟睡する子供達を抱えての家までの帰り道、そして翌日からの青森出張(しかも3週間休み無しの連続勤務)はキツかったが、忙しいだけで終わるはずだった2007年の秋を、一生の記憶に残る素晴らしい季節にすることができた。

〔ファミリーサイパン旅行記 完〕

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