■ ファミリースキー奮闘記(第1部: 2006年〜2011年編) 昔は夫婦でよくスキーに行ったが、子供が生まれて全く行かなくなった。
『パパ!スキースクールあと3人で締め切りになっちゃう!』 どうやらなっちは、幼稚園の友達やスイミングスクールのコーチが「スキーは楽しい」と言うのを聞いて、すっかりその気になっているようだ。 「そうちゃんがもうちょっと大きくなったら家族4人でスキーに行こうね。」 そう言ってなんとかなっちを説得した。 「クリスマスにスキー行きたい人?」 と言うと、 「ハイッ!ハイッ!ハイッ!」 とゆっち、なっち、そうちゃんの3人が元気良く手を上げた。 「ゲゲゲッ、また俺は我が家の偽り民主主義の餌食になるのか!」 ゆっちのさしがねで、まだ1才のそうちゃんまで元気に手を挙げているではないか! 「いつかスキーに行くなら子供がやる気になっている今がチャンスじゃない?今日家で子供達にスキー履かせて歩く練習させたけど、 なっちなんかもう完全にスキーの虜になっちゃってるよ。」 まあ、ゆっちの言う事も分からなくもないのでスキー出発を決めた。
『すごく面白いからもっともっと滑りたい。』 という意外にも前向きな返事が聞けた。昼には帰りたがるだろうというまっちの予想は見事に外れた。 昼食後も引き続きゆっちにスキー指導を任せ、自分はそうちゃんとホカホカの休憩室で過ごす。 『パパ!一緒に向こうのリフトに乗りに行こう!』 ゆっちに聞くと、なんとか吊り下げ式リフトに乗れる位にはなったそうなので、4人で初心者向け一般ゲレンデで滑ることにした。 今日は使わないと思っていた自分のスキーを車に取りに戻り、おんぶ紐でそうちゃんを 背負い2人づつリフトに乗る。山頂でなっちにカメラを向けるとどこで覚えたのか片足を上げ余裕の表情。 「オイオイ、本当に大丈夫かい?」
『パパ、昨日はスキーに連れて行ってくれてどうもありがと。』 と10回位言った。
『うん、もう100円ショップで4人分のサンタのコスプレ買ってあるから心配しないで!』 という訳で、1年ぶりに「ふじてん」へ行くことにした。
「今日1日どうしようか?」 まあ、なっちは去年リフトに乗ったし、そうちゃんは抱えてリフトに乗せられそうなので、皆でファミリーゲレンデで滑ることにした。 『パパもママもスキーうまいんだね。』(下手だが子供にはうまく見えるらしい。) まっちパパに頼り地面からスキーを浮かしてぶら下がりがちのなっちは、『左!』『右!』とパパに楽しそうに指令を送っていた。 『死んでももう1回滑りたい。』 と言いだした。(どこでこんな言葉覚えたのだろう?) スキーから帰ってからの数日間、子供達が何かと『パパ大好き!』を連発して妙になついてきて戸惑った。 きっと、『子供達に、普段の生活では味わえない特別な体験(雪景色の中リフトで話したり、一緒に雪山を滑走すること)を味あわせ、一緒に楽しむこと』は、親子の絆を強める効果があるのではないだろうか?
「あなたのブーツも10年以上の年代物だから、そろそろヤバイんじゃない?」 そのうち中古品でも買おうと考えているうちに、我家の年中行事となりつつあるクリスマスウイークのサンタコスプレデーがやってきた。 スクール中はゆっちと2人でそうちゃん1人の面倒を見ればいいので、リフトで山頂まで上り久しぶりにスキーの滑走感を味わう。 3人で乗るリフトからは、スクールを受けるなっちの様子が見え、 人一倍転びつつ誰も知り合いがいない中歯を食いしばる姿に、この1年のなっちの成長の大きさを感じた。 「おねえちゃんガンバレ!」と声援を送るそうちゃんの兄弟愛が追い打ちをかけ、目頭が熱くなった。 スクールが終わりなっちと合流。ボーゲン右ターンだけ何となくできるようになったなっちは、山頂から滑ってみたいと言い、 3分で滑れるコースを30分以上かけて何度も転びながらも独力で滑った。2本滑ると辺りは暗くなりスキー終了。 『うまくなる過程を楽しむスポーツ』だったはずのスキーは、いつの間にか『子供の成長を楽しむスポーツ』 へと変わっていた。 ゆっちの予言(?)通り、独身時代から使っているお気に入りのスキーブーツも砕け、1つの時代の終わりを感じるスキーであった。 ■ 2010シーズン ファミリースキー奮闘記 (2009年12月23日) 09シーズンも子連れスキーに最適な、ふじてんスノーリゾートの「サンタ衣装でリフト券無料イベント」に行こうと、そうちゃん用のスキーセット一式とまっちのスキーブーツをフリーマーケットで入手し準備を整えるも、前日にそうちゃんが体調を崩してしまい止む無く中止。その後もスキーに行く機会を持てずにシーズンが終わってしまった。 10シーズンに入り、今年こそ同サンタイベントに行こうと天皇誕生日にファミリースキーを計画。前日の晩が午前様であったが、この機会を逃すとまた1年スキーに行けなくなりそうだと眠い目を擦りながら準備をして朝6時半に自宅を出発。高速1000円の恩恵を受け90分程でお手軽にふじてんスノーリゾートに到着。今年はイベントが週末と重ならない為来場者が例年よりも少ないようで、センターハウスのすぐ近くに駐車することができた。 『おっ、サンタ率増えてるじゃん』 3年前に3割位だったサンタ率は7割位まで上昇し、ゲレンデはサンタだらけ。「子供達を早く上達させた方が今後のスキーライフが充実する」とのゆっちの考えで、コスプレで浮いたリフト代を子供のスクールに充て、コツコツ型のなっちには1日スクール、飽きっぽいそうちゃんには半日スクールの受付をする。スクール開始まで時間があるので2年のブランクでほとんど滑れなくなってしまったなっちを抱えてひと滑り。気温は高く天気は快晴、今日1日楽しいスキーができそうだ。 幸運なことに、なっちもそうちゃんも同じレベルの受講者がいないようで先生とマンツーマンでスクールが始まる。 スクール受講中は子供を先生に預ける形となるため夫婦2人で滑りまくる。面白味に欠ける狭いゲレンデではあるが、約10年ぶりに子守りを忘れて滑れる開放感と、今年から導入された自動改札システムのお陰で、短時間だがそこそこの滑走感を味わえた。 途中、ファミリーゲレンデでスクールを受けるなっちと、スラロームコースでスクールを受けるそうちゃんを見付けては、2人の様子やスクールの内容を陰から観察。さすがにプロからマンツーマンで指導を受けるだけのことはあり、2人共見付ける度に上達しているように見える。楽しい時間はあっという間に過ぎ、午前中の講習を終えた子供達と合流して昼飯。 午前中にボーゲンをほぼマスターしたなっちはスキーの面白さに目覚め、少しでも多く滑りたいようで、急いで昼食を食べて午後のスクールの前に(まっちと)リフトに2本乗る熱の入れよう。 一方午前中で講習を終えたそうちゃんは(ゆっちと)のんびり昼飯を食べ1時からの宝探しイベントでお菓子ブーツをゲットしてご満悦。 なっちを午後のスクールに送り出した後は、ボーゲンの形ができつつあるそうちゃんをゆっちと2人で指導。 午前中のスクールの様子を真似てストックを持たせずに『スキーをおにぎりにして!』と言葉を掛けつつの練習。途中休憩をはさむつもりが、意外にもそうちゃんの根気は途切れずに続き、なっちのスクール終了まで休まずに教えることができた。こんなことならそうちゃんにも1日スクールを受けさせるべきだったかな。 講習を終えたなっちは満足そうな笑顔。 先生からのスクールの成果報告は、 ・やる気があり、今日1日で非常に伸びた。 と良いことだらけ。隣で先生の報告を頷きながら聞く得意気ななっちと一緒に滑ってみると、なるほど安定感のあるボーゲンだ。これなら中級ロマンスコースも大丈夫そうだと連れて行くと、覗き込む様な25度の傾斜にも怖がらずに果敢にチャレンジ。 朝ほとんど滑れなかったなっちとこうして一緒に滑っているのがなんだか夢みたい。 今回は2人共良く頑張り、ちびっこ愛ランド(子供用休憩室付ゲレンデ)を使うことも、念のため持って来たソリを使うこともなく1日を過ごせ、理想のファミリースキーライフに一歩近づいた気がする1日であった。 ■ 2011シーズン ファミリースキー奮闘記 (2010年12月23日) 今年も12月23日の天皇誕生日に我家の年中行事であるサンタコスプレスキーに行くつもりでいたが、深夜残業・休日出勤の続く日々に疲労困憊。スキー前日の晩になんとか休める目処が立つが、休みが確保できた安心感でガクッと気が抜けてしまう。この先しばらく続くであろう激務の日々を思うととんぼ返りで寒い雪山に行くのが無謀に思えてくる。 『ゴメン、仕事のピークがもうしばらく続きそうだから今回のスキーは中止にしてもらえるかな。』 とゆっちに謝りの電話を入れ、今年はサンタスキーを諦めることにした。 『話を覆して申し訳ないんだけど、やっぱり明日はスキーに行こう!』 再びゆっちに電話をかけると、「どうせそうくると思ってたよ!」との答え、最近考えることのほとんどをゆっちに読まれてしまう(苦笑)。うれしいような、悲しいような、、、。 翌朝、睡眠不足の目を擦りながらふじてんスノーリゾートに向け車を飛ばす。 自宅出発2時間後にはゲレンデに立てるのがこのスキー場の最大の魅力、駐車場でサンタ衣装に着替えゲレンデへの扉を開くと一面の銀世界は昨年以上にサンタだらけ。 数年前はサンタの格好をするのが恥ずかしかったが、ここまでサンタだらけだと形勢逆転、少数派の普通の格好の人の方が浮いてしまっていて何だか場違いな感じだ。 「今後の充実したファミリースキーライフのためには子供を早く上達させるのが良い」と、今年もサンタ衣装で浮いたリフト代を子供のスクール代に充てる。今日は「親子無料スクール」というクリスマスイベントが開催されるようだが、スキーは少人数で直にプロから教わる方が良いだろうと敢えて一般のスクール(4000円/1人)を選び申し込む。『無料スクールに人が流れて一般のスクールは少人数で受けられるんじゃないの?』という読み通り、一番下のAクラス受講のそうちゃんはコーチとマンツーマン、その上のBクラス受講のなっちも3人という理想的少人数でスクールが開始された。 晴れて自由の身となり、ゆっちと夫婦2人で滑る。雪不足のため1つしかリフトが動いていないが、ガンガン滑るというよりも、非日常空間を味わいに来た自分にはこれ位で丁度良い。美しい富士山を眺めたり、結婚前毎週のようにスキーに来ていた頃を思い出したりしながら昼までスキーを満喫。 昼食の後、子供達は楽しみにしていたクリスマス宝探しイベントに参加。やる気満々の2人はスタートの合図と同時に宝探しエリアに飛び込み、2人共サンタブーツのお菓子をゲット、嬉しそうに午後のスクールへ向かった。 午後は講習を受ける子供達を見掛ける度に陰から観察。受講者3人の中一番下手ななっちは必死に2人に食らい付いて滑っている。人に教わるのが苦手なそうちゃんもちゃんとコーチの話を聞いて滑っているでようでひと安心。普段なかなか見られない、真剣な子供達を感慨深く見るうちにあっという間に4時間のスクールは終了。 最後に家族4人で初めて4人乗りリフトを占有して山を上り、暗くなるまで滑る。 昨年はなっちが飛躍的に上達したが今年はそうちゃんが飛躍的に伸びた。伸びたのはいいがストック無しボーゲンで右に左にスキーをコントロールしながらまるでラジコンカーのようにどんどん先へと進んでしまうので一発ガツンと叱ると暴走は止まった。(実はスクール終了時にコーチから「スキーの安全に対する心構えも教えたつもりですが、この子は速く滑りたがる習性があるので、怪我する前に一度ガツンと叱ってください」と言われたのだ。) なっちはボーゲンを抜け出せなかったがかなり安定感のある滑りになった。 今年からナイター時間もサンタ衣装でリフト代が無料になり、滑り足りないと言うなっちと照明が点いた幻想的な雪景色中を最後に一気に滑り下り今年のサンタスキー終了。今シーズン中にもう少し大きなスキー場でもう1回位滑りたいが、行けるかどうかは多忙な仕事次第のようだ。 [(第2部:2012年〜2014年編)を続けて読む]
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