15. 3家族合同バーベキュー(2011年6月19日) 高校の同窓生仲間で集まった時のこと、「このメンバーでキャンプに行ったことってないんじゃない?」という会話が盛り上がり、今度家族同伴でやってみようという話に。 しかしながらキャンプは家族を説得しだり道具を揃えたりとハードルが高くてすぐにはできそうもない。そこで、キャンプ実現への第1段階として、家族連れでバーベキューをやってみようとキャンププロジェクトがスタート。準備の手間や荒天中止時のわずらわしさを最小限とするため料金の発生しない野川公園市民バーベキュー場を会場に選び予約、メニューや食材の分担は決めず、「自分の家族が食べる位の食材を各自の判断で持ち寄りとにかくやってみよう」と(まっち家の食材の準備は全てゆっちにお願いし)当日をむかえた。
朝9時にテル家、ジョー家、まっち家の3ファミリー計12人で野川公園に集合、小川や遊具で子供達を遊ばせひと段落してからバーベキューの開始。 「しっかり嫁さん3人集」が下拵えした食材を僕ら「尻轢かれダンナ3人集」で焼き、子供達がそれを食べるという感じで進行するが、テル家・ジョー家が持ってきた食材には普段食べない肉やデザートがあったり、野菜の切り方が見慣れなかったり、太さの違うやきそばの麺があったりとその家らしさが見えて面白い。そして、そんな食材を調理したり子供や嫁さんと接する友人の姿は、これまで20年以上の付き合いで目にしたことの無いものでとても新鮮。それぞれがそれぞれのやり方で立派に父親を演じて(?)いる姿は自分の子供への接し方の善し悪しを考えさせられるなど色々と得るものがあった。 (写真右:拾い集めたバラの花びらで「バラ風呂」を楽しむそうちゃん)
16. 九州1周キャンプ旅行(2011年8月15日〜21日) (1)旅行計画
盆休み前日の仕事を終えたその足でそのまま三重の実家に行き宿泊、翌日大阪南港コスモフェリーターミナルに隣接する天保山マーケットプレース内「なにわ食いしんぼ横丁」などを観光し、17時5分発の関西汽船フェリー「さんふらわあ」に乗り込み一路別府港へ。 「子供達に違いの判らぬうちから贅沢な旅をさせたくない」という持論により、ゆっちの反対を押し切り「ツーリスト」という最安グレードの大部屋で寝る船旅にするが、ブルーにライトアップされた瀬戸大橋などの夜景を見たり、レストランで食事をしたり、大浴場に入ったり、土産物やゲームコーナーをのぞいたり、寝る時間を惜しむかのように広い船中を動き回っていたため、大部屋が苦になることも無く快適な船旅ができた(大部屋で「俺は海賊王になる!」とアニメの主人公を真似てはしゃいでいたそうちゃんは近くのお兄ちゃん達に「おう、なれ、なれ、お前ならなれる!」とからかわれていたらしい)。 子供達はトイレも無い中で波に揺られ続けるような酷い船旅をイメージしていたようで、瀬戸内海を航路とするためほとんど揺れない予想外に快適な船旅に感動していた。まっち、ゆっちも長時間睡眠により前日までの仕事や準備の疲れを回復でき、一石二鳥の楽しい船旅であった。
(3)九州旅行2日目(別府〜熊本〜宮崎) 翌朝7時に別府港に到着。至る所から湯煙のわき上がる別府の町並みを抜け、やまなみハイウェイで阿蘇山を目指す。 車窓からの景色を楽しむつもりが山道を登る程に天候があやしくなり、日本一の人道専用吊り橋「九重夢大吊り橋」は雨景色。阿蘇パノラマラインに入ると雨は霧に変わり、今回の旅で最も楽しみにしていた「草千里ヶ浜」は完全に霧の中。 『なんだよ〜、ここからの景色を楽しみにはるばる九州まで来たのに〜』 明日以降の予定を組み替え何とか再度ココに来れないかに頭をフル回転させるが、他の予定をかなり削らねば時間が捻出できないためあきらめる。だが、土産物屋などを回っていると霧が途切れてガイドブックのように馬や牛が走り回る黄緑色の大草原が現れた。 「これだよ、これぞ九州って感じ!はるばる来た甲斐があったよ。」 昼飯に火山灰ラーメン(熊本ラーメン)を食べているうちに山頂のガス規制が解除されたので、「中岳火口」を観に山を登る。1000℃を超える湯だまりから立ち上る噴煙に阿蘇が生きていることを再確認しつつ真夏らしかぬ寒さの阿蘇山を後にした。 高速を飛ばし本日の宿泊地である「宮崎県白浜海水浴場キャンプ場」に着いたのは16時、力を合わせて急いでテントを建て、目の前に広がる日が傾きはじめた白浜ビーチで海水浴。水の透明度は考えていた程高くなく魚もほとんどいなかったが、子供達は長時間ドライブからようやく解放されたとばかりに、イキイキと波遊びや砂遊び、貝探しを楽しんでいた。 青島岬の突端に建つサンクマールホテルの展望露天風呂にのんびり入るともう20時、キャンプ場周辺にこの時間まで営業しているレストランは無く、閉店間際のスーパーに駆け込み半額セールの寿司や海鮮丼を買い込んで海沿いに停めた車で夕食。半額につられて大量に買い過ぎてしまい超満腹、はち切れそうに膨らんだ腹をかかえてテントに潜り込むとそのまま熟睡。 いつもながら家族の寝静まった深夜に目を覚まし、蒸し暑いテントを抜け出し自販機で買った冷たいジュースを片手に夜の大自然の中を散歩する。孤独を楽しみつつ自分自身と向き合えるこのひとときは、夏のキャンプの秘かな定例行事であり、この1年を振り返る掛け替えのない時間となっている。 生活圏(都心)から遠く離れれば離れる程に普段近過ぎて見えない自分を客観視できるようで、この1年の出来事をまるで他人を見るように「あの時の行動はダメだった」とか「あれは良かった」と思い返す。そしてその中から来年の課題を見つけたり、ポテンシャルの低い自分の進むべき方向性を(文字通り(笑))暗中模索したりする。 防波堤に届く波や、海へと帰る陸風、降り注ぐ満月の光は、疲れ切り汚れた自分を浄化してPOWERを与えてくれるようで、「よし、もう1年頑張ってみるか!」と決意新たに暑苦しくも心地良いテントに戻る。昨年より確実に大人びた子供達の寝顔を見ながら再び深い眠りに落ちた。 (4)九州旅行3日目(宮崎〜鹿児島) 「海から昇る朝日が奇麗」と言うゆっちに起こされて起床。朝の涼しいうちにテントをたたみ7時過ぎにキャンプ場を出発し、ヤシの木が南国の雰囲気を醸し出す堀切岬から日向灘を一望、今日も暑くなりそうだ。 海岸沿いを数キロ北上し、朝早くてまだ人のいない(読売巨人軍が毎年キャンプ中に訪れる)「青島神社」を参拝。海に囲まれた神社へと続く参道を歩いていると、子供達が「暑いからちょっとだけ海に入る」と靴やズボンを脱ぎだした。『そうちゃんきっとパンツまで濡らすぞ』と木陰からはしゃぐ2人を観察していると、やっぱり押し寄せる波に飲み込まれパンツを濡らすそうちゃん。「やっちまった」という表情と、期待通り(?)の顛末に大爆笑。 九州名物「しろくま(果物入りカキ氷)」を食べながらヤシの木の並ぶ国道220号線を北上し宮崎駅近くに車を停め街の中心部を観光。県庁(観光客用見学コース)、街中、土産物屋で会う人は皆親切で、観光に力を入れる様子が伺える宮崎県であった。 豊かな自然の残る大隈半島の根元を横切り鹿児島県に入ると海に囲まれた桜島が姿を現した。道の駅「たるみず」で桜島をバックにのんびり足湯に入ると、またもやはしゃぎすぎてパンツを濡らしてしまうそうちゃん(笑)。 桜島に渡り360°の雄大なパノラマが広がる「湯之平展望所」、長渕剛オールナイトコンサートを記念して作られた「叫びの塔」を観光し、フェリーで鹿児島に渡ると街中は大渋滞。時間が押しているので仙巌園観光を明日に延期して薩摩半島先端近くの指宿へ。他に利用者のいない「指宿エコキャンプ場」にテントを建て、隣接する砂むし会館「砂楽」でゆっち(妻)の楽しみにしていた砂むし温泉体験。 「パパもやる?」とのゆっちの問いに、『何もこんな猛暑日に暑い中に入らなくて 熱湯で事前に温められた砂は予想以上に熱く、1分もすると顔から汗が噴き出してくる。「あづい〜!」と隣で死にそうな声を漏らすそうちゃんに笑いを堪えていると、3分もしないうちに死にそうな声は「僕もうダメ〜」に変わり砂から出てしまう。「もう少し頑張りなさい!」とのゆっちの声に再び埋めてもらうがまたもや3分でダウン。 なっちは小学生の割には良く頑張り10分間堪え、ゆっち・まっちは大人の意地で上限の15分まで堪えて「家族拷問体験」終了。ゆっちは拷問で足に低温やけどを作りシャワーの水で冷やす破目になったそうだが「砂むし風呂」は指宿を記憶に強く刻み込んだ。 「テントに泊まるだけじゃキャンプをする感じがしない!」と言う子供達の意見はもっともなので「焼肉なべしま指宿店」でお手軽焼き肉。鹿児島名物の黒豚で腹を膨らませ、降り出した小雨と波の音を聞きながら貸切のキャンプ場で眠りについた。
(5)九州旅行4日目(鹿児島〜熊本〜長崎) 夜中にテントを激しく叩き付けていた雨は明け方には止み、雨に気付かず熟睡していた子供達を連れ、知林ヶ島に続く砂のかけ橋が見渡せる海岸を散歩。ジャンケンで負けたら防波堤の段差を1段ずつ降りる「防波堤ジャンケン大会」で朝から大盛り上がり。 熊本駅近くに車を停めて、城の隅々まで見たい「まっち&なっち組」とのんびり観光したい「ゆっち&そうちゃん組」に別れて熊本城観光開始。 昼過ぎのフェリーで島原半島に渡り、硫黄臭のする雲仙岳経由で長崎市に入る。平和公園・原爆資料館では、まるで自分が体験したかのように原爆の恐ろしさ(さらには今春の大震災での原発事故の恐ろしさ)について熱弁を振るう。かつて担任の中谷先生(注1)がしてくれたように、、、。 (注1)まっち小3の時の担任の先生。中谷先生が戦争や原爆などの目を背けたくなるような写真(大量の頭蓋骨や死体が積み上げられた写真など)を紙芝居のように1枚1枚見せながら「決して戦争を起こしてはならない!」と熱弁を奮ってくれたことは一生ものの記憶として心の奥に刻み込まれた。この経験から(再び日本が戦争を起こさぬために自分ができる小さな1歩として)自分の子供には広島や長崎を見せておきたいという強い思いがあり、今回の旅行でようやく実現できた。 原爆資料館での暗い気持ちを断ち切るかのように、長崎新地中華街で「麺の細さは長崎一」という鮮州林の長崎皿うどんを食べ、標高333mの稲佐山の展望台に上り長崎市街の100万ドルの夜景を望む。ここ稲佐山公園からの夜景は、函館山、摩耶山(神戸)と並び日本3大夜景のひとつと言われるだけのことはあり文句無く美しく、自宅から遠く離れた九州での最後の夜を満喫した。 宿泊場所である長崎ロイヤルビジネスホテルに着いたのは22時。添い寝をさせれば子供の料金はかからないという良心的な料金設定のため、4250円のシングルルーム2部屋でリーズナブルに宿泊できた。 (6)九州旅行5〜6日目(長崎〜佐賀〜福岡) 朝食を食べていそいそとホテルを出発し、8時の開館と同時に扇形の人工島「出島(博物館)」に入館。数々の展示はとても分かり易く、江戸時代日本で唯一欧米に対して開かれていたこの島でのが生々とした暮らしぶりを感じることができた(なっちとそうちゃんはスタンプラリーに夢中)。 高速で佐賀県の吉野ヶ里歴史公園に移動し、この公園の売りである7つの体験プログラムの中から子供達が選んだ「勾玉づくり」を体験。直方体の石を砥石やヤスリで削り、なっちは白、そうちゃんは黒、ゆっちはピンクの勾玉を1時間程で完成(ゆっちが本気モードのためまっちは子供の補助係)。子供達は観光地巡りより手を動かす方が性に合うようで、紐を通して完成した勾玉に満足そうだった。 体験プログラムの後は弥生時代が再現された総面積117haの広大な公園敷地内を散策。この公園は芸能人と黒服(ハンター)が賞金を求めて鬼ごっこをするTV番組「逃走中」のロケに使われており、このTV番組を食い入るように観ていた子供達は番組に使われた物見櫓や高床式倉庫が点在する公園内を番組の話をしながら周る。そのうちに驚いたことに黒スーツにサングラスという身なりのハンターに遭遇!何かのイベントではないかと後を追うが、どうやらこの人偶然にもハンターと同じ格好で来てしまったただの観光客のようだ。来る人来る人に「あっ、ハンターだ!」と後ろ指を指されるのに訳が分からず戸惑う偽物ハンターにちょっと同情(笑)。 昼過ぎに吉野ヶ里歴史公園を後にして、福岡の新門司港16時50分発の名門大洋フェリーに乗船、翌朝5時30分大阪港到着し、三重の実家に寄りつつその晩に東京に帰宅。今回のキャンプ旅行は(今しかできないような)駈け足旅行となったが、いずれ機会を作り長崎・鹿児島あたりをじっくりと観てみようと思う。 帰宅数週間後になっちがおこずかいで弥生時代について書かれた「日本の歴史1・2」の2冊を買ってきた。旅行は地理や歴史を学べる副産物もあり、学生時代歴史や地理をあまり勉強しなかった自分も子供と一緒に学ぶ楽しさを味わっていこうと思う。 17. 大阪〜福井キャンプ旅行(2012年8月13日〜16日) (1)1日目(大阪観光) 早朝実家を出発し、開館と同時に大阪南港の「海遊館」に入館、イキイキと泳ぐ現生最大の魚であるジンベエサメやラッコ、ペンギンに子供達は大喜び。 (2)2日目(USJ観光) 『さて、どうしようか?』 10年ぶりにUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)で遊び、最終日の天候回復に賭ける手もあるが、何時間も行列に並び受動的にアトラクションを観るだけのこの手の施設にはあまり魅力を感じない。だがこの悪天候の中、他に楽しめそうな場所も見つからず、(家族で遊園地に行けるのももう数える程しかないだろうと)ホテル連泊の手続きを済ませUSJに向けて出発! 以前から遊園地に行きたがっていたなっちはとても楽しそう。バックトゥーザフューチャーやウォーターワールドに魅了されキラキラと目を輝かせていた。対してそうちゃんは恐竜や火事、タービネーターに襲われる度に涙目、対照的な2人の姿が印象的だった。(USJ内のみで使用できるアトラクションの待ち時間などが分かるUSJアプリはとても便利。スマホのお陰で長い待ち時間もあまり苦にならなかった)
(3)3日目(若狭和田海水浴場でキャンプ) 『あれウニじゃない?きっと何処かにウニがいるんだよ!』 なっちとそうちゃんの水中メガネを4人で使い回しながら周辺を探していると、防波堤壁面に直径3センチ程の小さな黒い塊がくっついているのを発見。竹の棒きれで壁面からはがして容器に入れて確認すると確かにウニのような格好をしている。思いもよらぬ展開に歓喜の声を上げながら狩りを楽しむこと約1時間、4人で8つのウニらしき黒い塊をゲット! 「でもこれって本当にウニなのかなぁ?」 もしこれが本当にウニなら近くに大きなウニがいるはずだと防波堤の反対側の深い所まで足を延ばしてみる。足が届かず海底のテトラポットの上を歩くなっちと潜ること30分、岩陰に直径10〜15cmのいくつかの黒い塊を発見!しかし黒い物体は岩の谷間の奥深くにしっかりとへばり付いているため、手持ちの棒きれでは届くのやっとではがすのは難しい。 『もう少し長い棒があれば捕れそうなんだけど、、、』 防波堤の上で収穫した小さなウニらしき生物を観察をしていたゆっちとそうちゃんに伝えると、何処からともなく使えそうな棒を持って来てくれる。 『もう少し細いのない?』『もっと堅いのがいいなぁ?』 2人が見つけてきてくれた棒のお陰で、何とか壁からはがせたものの、黒い塊はそのまま海底に落下、棘が痛くて回収できなくなってしまう。すると隣で見ていたなっちが「パパこれ使って!」と履いていたクロックス(サンダル)を差し出してくれる。 「やったー!やっぱりウニだよ!」 リリースする前に写真を撮ろうとカメラを取りに戻っていると、ゆっちが「私もウニ捕ってみたい!」と棒を片手に海に入る。いつになく真剣な表情で何度も潜る様子に『なんだかすごいヤル気だねぇ。』「ママって、こんなに根気あったんだ。」と高みの見物、すると、 「ウニはがれた!誰かサンダルやって!」 と応援要請。ようやく体が乾いたのでもう海に入りたくない気分だったが、片足サンダルで頑張ったなっちは足に擦り傷を作ってしまっているので、仕方なく海に入る。 海水浴で予定時間を大幅にオーバーしてしまったため、道の駅「シーサイド高浜」に併設された入浴施設「湯っぷる」にのんびり入ると近くにあるレストランは既に閉店後。しょうがなく広い休憩室の片隅にある電子レンジ付自動販売機で、焼きそばや炒飯、たいやきなどのインスタントメニューを買い夕飯とする。わびしいメニューではあるが、一生にもう2度と味わえないであろう素潜りによるウニ捕りの武勇伝に花が咲く楽しい夕食であった。 外はまだ暑いので、広い座敷でのんびりしてからテントに戻るともう23時。海岸には北極星を中心に満点の星空。砂浜に座りしばし夜空を楽しんでからテントで眠りについた。 (4)4日目(若狭湾観光) そうちゃんの夏休みの自由研究用に「お箸の模様出し体験」をした後、なっちの自由研究用に「美浜原発PRセンターを見学」をする。TVやネットに何度も取り上げられる原子炉心臓部の1/1モデルなどのわかり易い展示にまっちが没頭。施設内レストランで地元名物「鯖のへしこ丼」を食べていると「福島原発問題点と美浜原発における対応」の説明会開催の放送がかかり4人で聴きに行く。参加者は150人のホールに僕らを含めて6人とかなり少なく、原発への世間の関心の低さに驚かされた。 せっかく若狭湾に来たからと、(どう考えても安全が維持できるとは思えない)「高速道路増殖炉もんじゅ」を(家族の反対を押し切り)白木海水浴場から観て家路についた。 ホテルや遊園地は手軽に楽しめるがその分だけ記憶には残らない。自ら汗を流すキャンプや海水浴は決してお手軽ではないが後々深く記憶に残るものだと再確認できるキャンプ旅行であった。
18. 滋賀〜福井(キャンプ)旅行(2013年8月11日〜12日) (1)計画 「クーラー付テントでなきゃ海辺でのキャンプは無理だね。」 と言うなっちの気持ちも分からなくもないので代案を検討する。夏季キャンプ場営業をしている奥伊吹スキー場&キャンプ場なら涼しく高原キャンプができそうだと、このキャンプ場近くのレジャー施設を探しているとパラグライダー体験を行っているBLUE SKYのホームページを発見、面白そうだとよく読んでみる。 パラグライダー体験には、インストラクターの操縦する機体に同乗して山の上から数分間のフライトを楽しむタンデムフライト体験と、1日がかりで操縦方法を教わり地上数mの浮遊感を楽しむ自力フライト体験のふたつのコースが用意されている。今のうちの家族には、まる1日体を動かして操縦方法を覚える自力フライト体験の方が楽しめそうだと、明日以降の空き状況、小柄なそうちゃんも体験できるかを電話で確認すると、 「本来は体重30キロ以上でないとダメなんですが、明日なら風が穏やかな予報が出ていますので体重20キロ以上のお子さんであればフライトできそうです。普段なかなかできない体験ですのでぜひともこの機会にご家族でお越しください。」 という回答。保健料込み28000円/4人という安くはない料金設定に躊躇するも、今夏上映中の宮崎駿監督作品「風立ちぬ」の映画鑑賞と組み合わせれば、2013年の夏=風に乗る夏という共通のイメージを家族の心に刻み込めそうだと申し込みを入れた。
(2)パラグライダー1日体験 はじめに両手を空に伸ばす「助走姿勢」、肘を曲げて両手を肩の横に置く「フライト姿勢」、両手を骨盤の横に置く「着地姿勢」の基本3姿勢について10分程のレクチャーを受け、「実際にやりながらの方が分かり易いので早速始めましょう。」とゲレンデ中腹へ。子供達はリフトで上れると思っていたようで、残念そうに約100mの斜面を登る。 パラグライダーのキャノピー(翼)などの装備は体重に見合ったサイズを使わねばならないようで、生徒は体重別に5グループ(そうちゃん・なっちは大阪から来た男の子と最軽量グループ、ゆっちは女子大生2人と軽量グループ、まっちは大阪の男の子のオヤジさんと中重量グループ)に分けられる。自分に合うサイズの装備を実際に身に付けながら操縦方法の説明を受け、サポートのお兄さんの合図でゲレンデを駆け下り、いざ大空へ! 「あれ、思っていたより難しいぞ!」 ナウシカのように颯爽と飛び立つはずが、横風に流され、為されるがままに無様に横転(背中にアルマジロのようなプロテクターを装着しているので痛くはない)。他のグループでもだいたい同じような状況で、パラグライダーは、ただ山を駆け下りれば誰でも簡単に飛べる乗り物でないと痛感する。 「キャノピー全体に風を入れながら胸を張っての助走 → 風上に向かって適切な角度での離陸 → 曲がりたい方の赤紐をゆっくり引いたり基本3姿勢を使い分けたりしながらの飛行や着地」という動作のひとつひとつに意味があり、それぞれをちゃんと理解し刻々と変わる風の変化に適切に対処していかないとうまく風に乗れない。キャノピー等の装備を肩に担いで山を登り、同じグループの次の人に渡すとサポートのお兄さん達が今のフライトの良かった点、悪かった点を解説してくれる。何処をどう直せばどう飛べるようになるかという分かり易い説明に、 「なるほど、そういうことか。次こそはうまく風に乗ってやる!」 とやる気がみなぎり暑さを忘れて何度もゲレンデを登ってはフライトを繰り返す。 体重の軽いそうちゃんは危険防止のため毎回サポートのお兄さんが装備の一部を掴んで一緒に山を駆け下りたり、装備を背負って山を登ったりしてくれており、疲れ切ったお兄さんに「もう疲れたでしょ、ちょっと休もうよ!」と声をかけられては『全然疲れてない!早くまた飛びたい!』と何度も次のフライトをせがんでは周りの失笑を買っていた。 ふとゆっちに目をやると、嫌がるなっちを巻き込みTVカメラのインタビューに答えているではないか。この日の収録は滋賀県のローカル番組で1週間放映されるそうだが、果たしてどんな放送になるのだろうか? 午前中に7〜8回飛んで昼食、午後は3〜4回飛ぶと、風が出てきて危険とのことで早目の終了。最後のフライトで強風に煽られても驚いて手を下げずにフライト姿勢を崩さなかったなっちは「あの娘度胸があるなー。あの状態で急に紐引っ張って着陸姿勢に移ろうとするとパラシュートが崩れて危険なんだよね」と感心されていた。 2人グループで装備を回していた自分は(交互に装備を使っているオヤジさんが、まるで自衛隊隊員の如く毎回パワフルにゲレンデを駆け登ってくれていたため)充分飛べたが、3人グループで装備を回していたゆっち、なっち、そうちゃんはもっとたくさん飛びたかったようだった。 最後にクラブハウスで修了証書を受け取りスクールは修了。風に乗るのは思っていたよりも難しく、最後までナウシカにはなれなかったが、空中に浮き上がる感動や飛距離が延びる喜びを味わえる貴重な体験ができた。
(3)キャンプ中止 ラジオから流れる松任谷由実が歌う風立ちぬの主題歌「空に〜憧れて〜」を一緒に口ずさみながら北陸自動車道を飛ばし、閉店間際の「日本海さかな街」で蟹や寿司を調達してホテルの部屋で夕食。
(4)水島での海水浴 白砂が広がるエメラルドグリーンのビーチは遠浅で波も穏やか、まるでプールのように泳ぎやすいが、残念なことにほとんど魚がいない。今回の旅行では、ぜひとも家族でシュノーケリングをやろうと道具を揃えてきただけにかなりがっかり。 昼飯にパン屋で買ってきたパンを食べると子供達は波打ち際で夢中で砂遊び。せっかく海に来たのだから磯遊びをしようと島裏側の岩場に誘うも「ヤドカリ怖い!」と子供達はすぐに砂浜に戻ってしまう。『砂遊びだったら近所の公園でもできるのに!』 家では喧嘩ばかりしているのに、こういう時だけ妙に仲良くなる子供達を眺めつつ、浅瀬でごろごろしながらゆっちと激動のこの1年を振り返りつつのんびりおしゃべり。 渡し船最終便の時間が近づき、乗船の列が伸びてきたので水島を後にする。 帰り道、敦賀きらめき温泉リラ・ポートで夕飯を食べ、プールと温泉に入るとすっかり眠くなってしまい、座敷で仮眠してから高速に乗る。車内で(自分にとっては人間の成長を学べる教育アニメである)「ガンダム3めぐりあい宇宙(そら)」のDVDを上映する。「パパってカイに似ているよね」というなっちの言葉に、『まあ、ハヤトよりはいいか』と自分を納得させつつ映画鑑賞。次第に子供達はストーリーに引き込まれて大興奮。エンディングテーマ「めぐりあい」が流れると、『恋しくて〜、募る思い〜』のところで自然と皆で大合唱。なっちが中学に進学してからというもの何となく家族がバラバラになっている気がしたが、久々に4人の心が近くなった気がする北陸旅行であった。 帰宅後パラセイリング体験&風立ちぬ鑑賞が影響したのか、そうちゃんは飛行機作りに熱中(なぜかゆっちも一緒に夢中)。こうして風に乗るイメージを残し2013年の夏は過ぎていった。
|